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Many blessings to you.

あいいろのうさぎ

「それでね、ボールに当たりそうになったけれど、メアリーが助けてくれたのよ!」

 あら! メアリーちゃん、とってもカッコいいわね!

「その後、そのままメアリーがシュートを決めたの! とってもカッコよかったわ!」

 メアリーちゃんはとっても運動の出来る子なのね。

「私ももう少し運動が出来ると良いんだけど……」

 そうね、得意なことが広がるのは素敵なことですもの。でも、そのままのあなたもとっても素敵よ。

「あ、もうこんな時間だわ。そろそろ寝なくっちゃ」

 あら、本当ね。しっかり寝て明日に備えなくちゃ。

「おやすみなさい」

 おやすみ、エミリー。

 たくさんお話をしてくれて、お母さん嬉しかったわ。

 二年生になったばかりの頃は、塞ぎ込んでしまって、学校も休みがちだったけれど、最近は楽しく通えているみたいで、すごく嬉しいの。あなたの笑顔は私の宝物なのよ、エミリー。あなたに友達が出来たこと、その子と一緒に遊んでいること、たまに先生に怒られていること。心をたくさん動かして、色んなことを学んでいくこと。どれも私にとってこの上ない喜びなの。特にメアリーちゃんのことを話している時のあなたの笑顔は花が咲くようで、見ていて幸せな気分になるわ。塞ぎ込んでいた頃のあなたは、誰にも心を開けずに泣いてばかりだったから……。

 その原因を作ってしまった私が言える事ではないのかもしれないけれど。

 ごめんね、エミリー。勝手だけど、私はここからあなたの幸せを祈っているわ。あなたが楽しく学校に通えること、もっと頼れる人や一緒に楽しめる仲間が増えること、いずれやってくる卒業の日を迎えてもあなたたちが友達でいられること、いつか私がお父さんと出会ったみたいに、あなたの心を包み込んで安心させてくれる人に出会うこと。他にも数えきれないほどの幸せを、昨日も今日も明日もその先もずっと祈っているわ。あなたがここに来てしまうその日までずっと。

 だから、今しかないこの日々を心から楽しんでちょうだい。心も身体も目一杯に動かして。たくさん動いたら怪我をしてしまう日もあるでしょうから、そんな日にはお父さんを頼ってあげてね。エミリーが話してくれなくなったら、お父さんきっと泣いちゃうから。実はあの人寂しがり屋なのよ。

 人を頼って、時には自分の意志を貫いて、そうやって伸び伸びと生きていってね。

 お母さん、天国で待ってるから。


あとがき

 目を通してくださってありがとうございます。あいいろのうさぎと申します。以後お見知りおきを。

 今回のお題は「毎夜の祈り」です。最初はアイデアが浮かばなかったのですが、「祈り」を辞書で調べ、「加護」という言葉を発見し、そこから想像を膨らませてこの作品ができました。私の今までの作品を読んでらっしゃる方ならハッとする部分もあったのではないでしょうか? お楽しみいただけていれば幸いです。

 またお目にかかれることを願っています。




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