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湖の奇跡

 あるところに、小さな村がありました。その村に住む人々は皆幸せそうで、笑顔が絶えませんでした。しかし、村の外れに住む老婆だけは孤独で、誰も彼女の話を聞いてくれる人がいませんでした。


 ある日、老婆は森の奥にある美しい湖へと足を運びました。湖の奥には立派な城があり、美しい姫が住んでいました。たまたま、湖の近くで姫に会い、自分の孤独な生活を打ち明けました。姫は老婆の話を真剣に聴き、手を差し伸べ老婆に自分と一緒に暮らすように誘いました。老婆は喜び姫の城に住むことにしました。姫との生活は素晴らしく、老婆は幸せをかみしめました。しかし、そう長く幸せは続きませんでした。

 ある時、姫が病気で倒れてしまったのです。沢山の医者達が手をこまねいていましたが、姫の病気はなかなか良くなりませんでした。


 老婆は、湖のほとりで泣きながら祈りました。

 すると、湖から光が現れ、湖の中から妖精が現れました。妖精は老婆に告げました。

「姫の病気は、あなたが原因です。自分の幸せのために他の人を拒絶した事が原因です。しかし、あなたが自分の幸せを他の人と分かち合う事ができれば、姫は回復に向かうでしょう」

 老婆は、妖精の言葉を受け入れて、姫との今の自分の幸せを分かち合うことを決意しました。

 村に戻り、他の人と話をしてみることにしました。他の人に姫との今の自分の幸せを話しました。何日も、何日も色んな人と話しました。今まで、自分が孤独だと思い込んでいただけで、実際は、自分が人と距離をとっていただけということを知りました。

 何日かすぎた頃、姫の病気は奇跡的に回復しました。村には再び笑顔が戻りました。これまで通り老婆と姫は幸せな日々を過ごしました。今でも、その村では姫と老婆の絆を後世に語り続けられています。




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