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【感想】ゆれる人魚

2015年 ポーランド
監督 アグニェシュカ・スモチンスカ
出演 マルタ・マズレク
   ミハリナ・オルシャンスカ
   キンガ・プレイス

あらすじ

人魚の姉妹シルバーとゴールデンは、偶然出会った女性に誘われてナイトクラブで働くことになる。持ち前の歌とダンス、それに人魚への変身パフォーマンスで、彼女たちは一躍スターになった。
人間の世界に順応し、イケメンベーシストに恋をするシルバー。それに対し、ゴールデンは隠れて『捕食』を続けていた。人魚にとって、人間は餌でしかない。恋なんてしたら、泡になって死んでしまうのに。
徐々にすれ違う姉妹たち。彼女らを待ち受けていたのは、残酷で悲惨な運命だった……。
1980年代のワルシャワを舞台に紡がれる、エログロナンセンスな『人魚姫』童話。

感想

正直にいうと、姉妹のおっぱいにつられて視聴したわけで()。愛くるしさと妖艶さが入り混じったエロスに最初はウヒョーとなってましたが、常にモロ出しなのでありがたみは徐々に薄れていきます。その頃には奇妙でキャッチーな物語にどっぷりハマっていました。

ジャンルでいうとミュージカルホラーとされていて、『絶叫のオペラ座へようこそ』みたいなやつかな、と思って鑑賞したんですが、全然違いましたね。↓と違ってホラー要素はほとんどありません。


どちらかというと、ダークファンタジー。一昔前に流行った暗黒グリム童話系のお話に近いかなと。わかりやすい面白さって感じではないんですけど、独特な世界観と全体を漂う薄靄みたいな雰囲気に引き付けられました。

この映画で語りたいポイントはたくさんあるんですけど、何はともあれ、まずは歌です。特に姉妹のコーラスがめっちゃいい。モダンとレトロの中間みたいな曖昧模糊としたムードと、神秘的な人魚というモチーフがバッチリ歌に盛り込まれていて、歌うシーンはどれも楽しめました。ジャンルとしてはミュージカルになると思うんですが、ナイトクラブが舞台なので、歌う理由があるというか、「急に歌うよ!」みたいな展開は少なかったです。

曲調もバリエーション豊かで飽きません。王道のみんなが踊る感じの曲もあれば、ストリップしながら歌うえっちいやつもある。エログロなんて苦手って人でも、ミュージカルシーンだけは見てほしい。

あとは異質な人魚の造形ですよね。絵本で描かれているような華やかさは微塵もない。テラテラした気持ち悪い質感で上半身とはアンバランスな尾びれの長さ。どちらかと言うとクトゥルフに出てきそうな化け物って感じ。牙を剥き出しにして人間を喰うってところもたまりません。

『人魚姫』がベースになってる映画なんですが、あれって「醜い見た目なのに王子に好かれるはずがない」ってジレンマが肝だと思うんです。でも、『リトル・マーメイド』とか全然その要素ないですよね。アリエルめっちゃ可愛いじゃんってなります。本作はある種原点回帰というか、その部分を際立たせて作られていて、確かに上がどんだけ美少女でも、下がこれじゃキツイよねって納得させられました。

最後にグロいシーンについてなんですが、これは思ってたより控えめだったなと感じました。というのも、ストーリー自体がめっちゃエロくてグロテスクだったので、直接的に残虐な映像を撮らなくても十分お腹いっぱいというか。ちょうど良い塩梅だったと思います。

ただ、人魚のヒレを切り落として足に付け替えるシーンだけは、ザ・エログロナンセンスって感じなので耐性ない人は注意かもしれません。私的には「そうはならんやろ」と楽しく見れましたが。

まとめます。耽美な映像と愉快な音色で誘い込み、視聴者をグロテスクな世界へと叩き込む。まさに人魚の歌声みたいな映画でした。

以上、これは1/17分ですと言い訳して毎日頑張ります。お疲れ様でした。

視聴:アマプラ

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