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誰もが子ども時代に書いたことのある絵日記をアプリとしてより身近に

今回は、ICT × 教育の可能性を信じ、チャレンジする「あっきーテックサポート(あっきーの教材工房)」の鈴木章裕さんにお話を伺いました。

教育現場で感じたICTの可能性

鈴木さんは、12年間勤めた肢体不自由特別支援学校の教員を退職し、アプリケーション開発と障がいのある方や学校現場向けのICT(Information and Communication Technology)支援を行っています。

教員時代の2019年にGIGAスクール構想(※)が始まったり、コロナ渦で学校に生徒が通学できない状況下でICTの重要性を感じたのがきっかけで、より専門的にICTの活動を行いたいと思うようになったそうです。
※GIGAスクール構想とは、義務教育を受ける児童生徒のために、1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する計画。

子どもが使えるiPadアプリ「えにっき」

複数のアプリを開発されている鈴木さんですが、今回は「えにっき」アプリのことを中心に伺いました。「えにっき」は写真と文章で簡単に絵日記を作成できるiPadアプリです。
2018年のリリースから現在までのダウンロード数は70万本以上で、主に小学校や特別支援学校に通うお子さん等が活用しています。

ちなみに今回の取材のきっかけは、以前スイッチの取材をさせていただいた「けんたんたん」のお母さんから、我が家で使っている「えにっき」の制作者の方に取材してみては?ということでご紹介いただきました。
スイッチで広がる「できること」[前編]
スイッチで広がる「できること」[後編]
実際に使っている方からの紹介は、より信頼度が高まりますよね。

さて、「えにっき」の話に戻しますと、
元々学校では一日の振り返りなどで日記が使われるシーンが多かったにも関わらず、鉛筆で文字を書くことが難しい子どもに使いやすいアプリがありませんでした。
無いなら作ろう!ということで、開発された「えにっき」アプリは、あまり必要としない機能は外し、学校でニーズのある機能を搭載した子どもにも使いやすいシンプルな機能で出来ています。

一部機能をご紹介!
・ボタンは押しやすくするために大きく配置
・本文の文字の大きさを調整する機能
・文字間や行間の調整機能
・書いたものを耳で確認できる読みあげ機能
・縦書き編集機能(縦書きは教育現場からの要望が多かったそうで新たに加わった機能です)
・エクスポート機能で印刷

文字の大きさは画面下にあるバーで感覚的に調整ができます
実際に書いてみた絵日記がこちら!
鈴木さんが息子さんと書いた絵日記も見せていただきました!

その他の機能や、現在開発中の機能はこちらで紹介されています。

障がいにはICTが武器になる

誰しも、苦手なことががあるのは当たり前。
例えば絵日記でも、手書きだと体の自由がきかないから難しいけれど、アプリだと出来るなど、ICTを活用して少しやり方を変えたら、障がいのある子ども達の世界も大きく広がっていく可能性があります。
今回取材したえにっきアプリも、子ども達自身が「できた!」「自分でやれた!」と感じられることを大切にされていると鈴木さんから伺い、ICTを使った学びの可能性を感じました。

昨日見えなかったことが、今日は見えるかもしれない

鈴木さんに今後の活動についても伺いました。
まずは「えにっき」をより使いやすいものにするための機能のアップデートと、教育機関向けのアプリ配信プログラムも予定されているそうです。
また「えにっき」以外にも鈴木さんは「ドロップレット・プロジェクト」と共同で「DropTap」というコミュニケーション支援のアプリを開発されており、こちらの活動も要チェックです!

教員を経験した後にアプリ開発とICT支援をされている鈴木さんに、子ども達が障がいを抱えながらも学習に取り組む意義を伺ったところ

「様々な困難があったとしても、学ぶことによって、昨日見えなかったことが今日は見えるかもしれないと感じることに意味があるのではないでしょうか」
と仰られました。

鈴木さんのお話を伺い、障がいの有無に関わらず学びの重要性をより再認識しました。
えにっきアプリは現在では普通学級でも使われるようになっているそうで、そういった意味でも「学び方の多様性」を支える上で、ICTの活用は重要な役割を果たしていくと感じました。

鈴木さんの今後の活動にも是非注目していきたいですね!取材にご協力いただき有難うございました!

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