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番外編-3:オペレーションM

ハンドサインを送るJuno
今回の悪性ボットは、意識体の言葉を理解する人型だった。
制圧力こそ、巨大ロボット型に劣るものの連携を含んだ繊細な戦闘行為が可能だった。
何より、こちらの作戦を読み取った上での戦術が得意な情報戦特化型の小型偵察ボットとの組み合わせが厄介だった。

(だが、今回行うべきは、『狙撃』のみ。原因究明に繋がる部位を計測しないでよいからな。全力で行かせてもらう)

後方にいる情報担当官に悪性ボットの中から、『一番小さな個体』を割り出させる。
最前線で得た情報が、処理され分析結果が通知される。

(よし、これでターゲットは決まった)
「ならば!」
そういって、秘匿されたトランザクションで合図を送る。
予め出しておいた指示の通り全てのチームが動き始める。
悪性ボット達を手段で狩り始める。
一見、目についたものから破壊しているように見えるが法則性はあった。
悪性ボットの中でも、真っすぐに突っ込んできたそれの首をJunoはサーベルで跳ね飛ばす。
跳ね飛ばした首を片手で持ちトランザクションを施した手で分解する。
頭を構成していたパーツがバラバラになり、小指ほどの大きさのユニットが現れた。
それに合わせるように、Axelarから受け取った銃を向け、狙撃する。
薬のカプセルの様な弾丸が発射され、ユニットのコアに命中する。

「Axelar!!」

事前に預かっていたピアスに指をあて、メッセージを飛ばす。

「オーケー!一気にいくわよ」
「Junoも、一気によろしくね!」

「わかった!」

そういうと、Junoは跳躍し、最後尾にいる副官の場所へと移動する。

「アサルトAxelarスキャン準備」
Junoのその声に答えるように、エネルギーが充填されたライフル型の装置がJunoに手渡される。
Junoの体の3倍はある巨大なライフル型の装置
莫大なエネルギーがケーブルを通し充填され続けているそれは、白い煙を上げていた。
エネルギー供給により発生した熱をさますために急冷されているのだ。
何本もの煙が上がっている。

血に伏せ、トランザクションで全身を固定するJuno
Axelarからの合図を待つ。
「解析完了!パッチ準備OK。障害物の消去、お願い!」

Axelarからの通信を受け、Junoは引き金を引いた。
砲身からは、色の無い圧力が放たれた。
エネルギーの塊だった。
目に映らないそれは、大気を揺らし陽炎をいくつも作り出していく。
陽炎は、幾重にも別れ悪性ボットとは異なるほうこうに出来上がっていく。
全ての陽炎が収まると、悪性ボットたちは糸が切れた人形のようにパタリと倒れてしまった。

「作成成功よ!Juno!おつかれさま」
Axelarの声が彼女の耳に届く。
それを受けて、Junoは戦いが終わったこと、今回の遠征が終わったことを宣言した。

=====
ベースキャンプ地

「それで、結局なんだったんだ?今回の原因は?」

「Juno大佐!今、それをいう!!?」

「当たり前だろ。我々は、提案された『戦略』を実行しにいったのだ」
「打ち込めと言われたものを打ち込み、後は、Axelarの仕事だ」
「完全分業の作戦だ」
「だが、命を懸けて戦った兵に帰還後、説明は欲しい」

「そういわれたら、言い返せないわ」
「私は、戦場に出てないし」
少し申し訳なさそうな表情をしたAxelarの顔を見て、Junoが違うと返す。

「いや、Axelarは自身の戦場にいたのさ」
「我々のものとは違っただけだ」
「作戦が失敗したら、一番に襲われたのはこのベースキャンプだろ?」
「解析と同時にパッチをあてる。私のライフルによる狙撃の後に」
「私のライフルが悪性ボットの操作信号を無力化出来なかったら、コアに直接ダメージを追っていたはずだ」

「何!説明していないにも関わらずわかっていたわけ?」

「大体だ、大体。予測にすぎない」
「だから、私としては、お前の正式な見解を聞きたい」

それに。
「お前が過剰なリスクを抱えてくれたことで、今回の異変は解決したのだろう?」
「おかげで、やつらを一掃できた。感謝する』
と付け加えた。

「Junoってば、かっこいい!私、惚れちゃいそう」
自分が背負ったリスクを正当に評価して、誉めてくれたJuno
Axelarにとって、そんなことを言ってくれた存在はいなかった。
だから、思いっ切り抱き着いたのだ。
それに対し、おちつけというJuno

ともあれ、問題は解決されたのだった
「さぁ!宴会よ宴会!そこで、今回の原因を話そうじゃないの!」
そういって、キッチンスタッフに声を掛けに言ったAxelar

宴会は開かれたが、Axelarが大量に酒を飲みJunoが介護するという状態になり、結局、正式な見解は聞けず仕舞いだった。
(まぁ、後ほど、アトム様にNFTで報告を上げるといっていたから問題はないか)
そう結論づけたJunoは、Axelarを寝室に運び水を与えると自身は温泉へと向かった。

(Axelarで過ごすのも、今日が最後だ)
(最終日くらいは、くつろいでもいいだろ)
そう思いながら、温泉へと入った。

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