近況

著者は「小型割安株で値幅を取るタイプ」「逆張りのコントラリアン」のスタイルですが、トレードスタイルが違ったとしても学ぶことが多すぎる本でした。

教科書的ではない文体が読みやすい。伝説の猛者が竜退治から帰ってきて、そこで見てきたもの、得た経験、導き出した結論を、たんたんと語っている本です。

何個か印象に残ったところを。

少数派の意見を持って小型株を買うと、自分が間違っていたとしても、大暴落にならずに、静かに撤退できる。多数派と同じ意見で株を持っている場合、サプライズが起きれば大暴落に巻き込まれる。

間違いを恐れず、自分の意見をもって銘柄判断をしていくことが、大儲けになる。

清原氏は、本書で「業績が伸びていくのを確認してから投資をするのは馬鹿げている」と言い切っています。

これは、「調査は適当でいいよ」なんていう意味ではなくて、小型株に含まれる成長株の確率や、期待値の話を用いて、その理由を丁寧に解説してくれています。

そして、まずは推定で買い、調査や事実情報を積み重ねるたびにベイズ推定のアプローチを使って、判断してゆく。

確証を得ようとすればするほど、利幅が取れない。

これは、ほんとうに、真実だと思います。

PBRを重視しない意見に賛成。そして単に重視しないというだけでなく、理屈について丁寧に解説もしてくれています。

全体的に、教科書的な解説は全くなく、自身の経験から得た「極意」が書かれています。

ある程度、投資本を読みつくすと、PERの解説とか、新高値の重要性の意味とか、何度も読んだ話になってしまうので、こういう本は本当に貴重ですね。おすすめです。