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「自撮り文化」が私にもたらしたもの 【ゆるゆるいちごつみ #5】

百瀬七海さんとの #ゆるゆるいちごつみ リレー、遅くなってしまいました。5走目です。七海さんの前作はこちら。↓

SNSのお話。初期設定がよくわからず、気づいたらリアルの友人にたくさんフォローされてしまうこと、あるあるですよね。

それから、写真を撮るセンスのお話。私も所謂「映え写真」というやつが撮れないので、おしゃれな写真を撮れる人は尊敬します。SNSには素敵な写真やイラストがたくさん溢れていて、見ていると勉強になりますね。

こちらの作品から私が摘んだキーワードは「写真」です!


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写真を撮られるのが嫌いだった。自分の容姿が嫌いだったのか、レンズ越しに覗かれる感覚が嫌だったのか、たぶん両方だ。とにかく写真に写りたくなかった。


中学二年の時の担任は、常にインスタントカメラを持っている人だった。教室や校庭での私たちの何気ない姿を写真に収めては、学級通信に載せて配布していた。「日中の子どもたちのリアルな姿が見られる」と保護者からは評判だったようだが、当時の私はそれが本当に嫌でいつも逃げ回っていた。


プリクラは好きだった。かわいく詐欺ってくれるから。まだスマホのなかった当時、ガラケーで人の写真を撮ることはあまりなかった。放課後や学校のイベント後、何気ない日常から記念の日まで、とにかくプリクラを撮りまくっていた学生時代だったように思う。かわいく写ったものだけ待ち受けにしたり、手帳に貼ったりしていた。


大学になると、みんなの携帯はほぼスマホになった。大きい画面、綺麗な画質。「自撮り文化」が生まれたのは自然な流れだった。

「プリ撮りいこ~」が会話から消えた代わりに、至るところで生まれた「写真撮ろ!」という会話。プリ機がなくても生まれるので怖い。そしてiPhoneのインカメはよくも悪くもありのままを映し出す。私のぎこちない笑顔も。しかも自撮りができてしまうために「私撮るよ!」と言って早々にフレームアウトするあの技が使えない。逃げ場がなかった。


だけど自撮り文化が流行し始めて早々に、自撮りアプリが生まれた。最初はB612とかsnowあたりだったと思う。輪郭をシャープにしたり、動物の耳をつけてかわいくしたり。漫画雑誌のちゃお並みに目を大きくしたり。どんな被写体でもかわいく写してくれる自撮りアプリのお陰で、私の写真嫌いはだいぶ克服された。

バスを待つ時間、友人と自撮りしたり。この場にいない別の友人に、それを送りつけたり。実家の母親とのLINEにも、写真が増えた。旅行に行けば景色だけでなく、景色を含めた自分たちの写真を撮るようになった。


昔の自分が見たら驚く変化だと思う。


「あんなのは詐欺アプリだ」という声も聞く。だけど、詐欺でもいいのだ。都合よく自分のかわいい部分だけを見ることは、私たちに自信を持たせ、結果的に私たちの魅力を高めていく。

狭い教室で、インスタントカメラから逃げ回っていた自分より、美しい景色を前に友人と笑顔でカメラを構える今の自分の方が、私は好きだ。


自撮りアプリのある時代に20代でよかったと、今は思う。写真への抵抗が完全になくなったわけではないけれど、それでも昔よりはだいぶ自然な笑顔でレンズに写ることができるようになった。今は外出自粛の影響で会えていない家族とも、近い将来できるだろう新しい家族とも、笑顔でたくさん写真を撮って、思い出をのこしていきたい。


あの頃インスタントカメラを持ち歩いていた担任も、こんな気持ちだったのかなと、ふと思ったりした。


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<おまけ>
余談ですが。スマホが出始めたばかりの頃、かつて好きだった人が「女の子が食べ物の写真を撮るのはレコーディングダイエットしてるからだと思ってた」と言っていたのをたまに思い出しては笑います。当時に比べればカフェやレストランでカメラを出すのはかなり自然な文化になりましたよね!


では、お次は七海さんです~。よろしくお願いします!


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