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記憶を辿る二つの劇(鮟鱇婦人/YO RU TO RO TO RO)

稽古の様子をnoteに書く事で、脳を整理する。
そう考えてなるべく書きたいと思っていたのだが、いかんせん考える事が多く、脳を限界までヒートアップさせて諸々と立ち向かい、家に帰るとスイッチをガチリと切って死んだように眠る日々です。それでも明日はやってくるのです。

さて、いよいよ劇場入りまで大詰めという時期になってきました。
めちゃくちゃ決まっている事もめちゃくちゃ決まっていない事もあり、精査の時期。演出的には要素は揃ったし筋も見えた。肉付けをモリモリ行いながら、作品が立ち上がるポイントを俳優と共有して試しています。

二作品同時に演出する事のデメリットも勿論あるのですが(とにかく忙しい)、メリットもあると感じ始めました。
まず、作品を相対的に見る事が出来る点です。
一作品のみの演出だと、その作品を絶対的に見て作りあげる。それが普通だし、そうした方が集中しやすい。
しかし二作品を同時に演出する事で、この点はあの作品より秀でたポイントだからより伸ばしていこう、逆にこちらの作品はあちらの作品に比べてこういうリズムが心地よい。良さを比較して、より良いを創る事が上手くできるようになってきました。
別個の作品なのだから相対的に作る必要はないのかもしれないが、演出をする上で良い点をより良く膨らませる技術は今後も生きていくだろうなと。

ただ俳優やスタッフにとっては、どっちかに集中してくれや、という気持ちも無い事は無いだろうと想像し、少し心がきゅうきゅう鳴いたりします。
それでも稽古場でやれる事が限られているのはいつだって一緒なので、それぞれ誠実にやっていくのみです。


鮟鱇婦人稽古の様子

鮟鱇婦人は通し稽古を終えました。通し時間は95分でしたが、理想タイムは85分ぐらいだろうと彩葉さんとも見解を一致させています。
過去の記憶を呪縛に少女が中年になるまでの人生を描いています。
カラリとした笑顔を携え人生を間違えていく少女の行く末は、やはり悲しく、人生の重みに比例して劇の重みに姿を変えていきます。


YO RU TO RO TO RO稽古の様子

YO RU TO RO TO ROはラストシーンに差し掛かりつつ、前半から中盤までの流れの中で生まれているものをこれでもかと繰り返しています。
上演時間はまだ少し読めませんが、80分ぐらいになるのではないかと。
こちらも過去の記憶が現在に混濁していく物語の中で、ふわふわと生きづらい人生の在り様を空間の中で揺らぎながら紡いでいく物語です。
時空も歪む夜の在処は、どこかで人生の救いの在り様に繋がっています。

さて、もうひと気張りします。
メンバーも皆様本当に色々やってくれて感謝の言葉では足りないので、終わったら一緒に笑って焼肉でも食べたいです。

両作品もちろん観て欲しいと願うのですが、どちらか一作品でも観て頂けると、とても嬉しいです。10年やってきたこと、これから何をするのか、そんな手立てとして、やっております。是非。

https://expo1314.wordpress.com/about-2/


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