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INORI

傷をえぐる 膿が出るように
生ぬるい痛みを鮮やかに汚らしく残すために

だから
あの景色を思い出して
そして鞘のないこの右手を見る

祈る なんて無責任なことば
空以外 すべてとぎれている

川を駆けて 石を拾って 山を拝んで

そんな記憶を押しやって
ぼくは 祈る

貴方がいつか街の色に染まっても
その美しい感性が 失われないことを
ぼくは 祈る

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自由律俳句

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