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2019 北欧旅

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2019.4.25~5.5までの北欧旅の記録。コペンハーゲン、ストックホルム、ゴットランド島のヴィズビューを旅した記録。
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記事一覧

北欧旅14【北欧旅番外編 最終章、北京へ】

ストックホルムからの帰国便は、北京でのトランジットに22時間かかることがわかり、急遽、中国のネット旅行会社に「8時間、日本語のできるドライバーガイドチャーターツアー」を申し込んだ。 北京空港に迎えに来てくれたガイドの陳さんは、実に巧みな日本語を操る。さっそく、舞い降りたこの巨大空港が、さらにターミナルビルと滑走路を急ピッチで建造中、成長期真っ只中であることを教えてくれた。 定番である「万里の長城」と「天安門広場」を8時間の制限時間内ギリギリで案内してくれることになった。北

北欧旅13【島の生活、ゴットランド島】

表向きの顔として、人口2万数千のVisbyの中世の古い市街地はそのまま保存しているが、一周2キロの城壁を一歩離れると、現代的なショッピングモールやバスターミナル、ホームセンターなどが並び立っている。観光資産としてその外部イメージのマスクだけは、絶対手放さないように不便に耐えながらも、楽屋裏の島民の生活環境は至って快適な都市生活者のそれであったことが、とても印象的だった。 中心地・Visbyの人口が2万数千人、山口県の半分ぐらいの面積の島全体でも5万数千人程度の人口だが、スー

北欧旅12【Visby , ゴットランド島】

夕方、ストックホルム中央駅から高速バスに乗り港へ。バルト海の中央に浮かぶゴットランド島行きのフェリーに乗ったのは、日没間近の時間だった。3時間かけて、VIsbyの港に着岸したのは日付の変わる直前だった。 暗闇の中、冷たい風が吹く石畳の暗い路地をスーツケースを押して、真夜中のホテルにチェックインを済ませると、疲れ切ってそのまま就寝。 翌朝、部屋のカーテンを開けるとそこは、アニメ「魔女の宅急便」の世界だった。 北欧バルト海の短い夏のリゾートに訪れる目的以外では、宮崎駿作品の

北欧旅11【ローゼンダール・トレードゴード】

ストックホルム市立図書館から、赤いトリム(路面電車)でユールゴーデン島に移動して、スカンセン野外博物館前の終点で下車。並木道をのんびり歩いてローゼンダールトレードゴード農園へ。 王侯貴族の広大な庭園だった場所を利用して、現在は「バイオダイナミック農法」によってほぼ閉鎖形循環型農園として様々な農作物や畜産物の生産と販売そしてカフェの運営が行われいる。 カフェはセルフサービス方式で、日替わりメニューは農園内で生産された素材だけで調理されている。料理と飲み物をもって、農園内の様

北欧旅⑩【ストックホルム市立図書館】

二つの世界大戦を含め、200年以上戦火と無縁で過ごしてきた世界でも希有な国だけに、中世の古い建造物が至る所に美しく保存されている。 シェアリング・キックスケータのLimeを使って、市内に縦横に整備されている自転車専用レーンを駆ける。旧市街エリアから少し離れると、モダンなアパートメントが整然と建ち並んでいる。 数百年にわたる都市計画によって、物件数が限られているせいもあり、人気があるストックホルム市内での住居費は、近年かなり高騰しているらしい。  伝説の建築家アスプルンド

北欧旅⑨【ガムラスタン、ストックホルム大聖堂、王宮】

メトロに乗って、ガムラスタンへ。ストックホルム市は、14の島から構成されるが、王宮と大聖堂のあるガムラスタンとは、スターズホルメン島の旧市街地の地名。中世この小島の周囲を「丸太(ストック)」で囲った水上の要塞都市が生まれ、やがて「ストックホルム(丸太の小島)」と呼ばれるようになったそうだ。   ストックホルム大聖堂は、王室の戴冠式をはじめ、洗礼式など様々な公式行事が行われる場所。華美な装飾はないが、壮麗な祈りの空気に包まれていて気持ちがよい。 隣接する王宮に向かおうと、裏

北欧旅⑧【スカンジナビア・デザインと王侯コレクション(スウェーデン国立美術館)】

フィンユール特別展を見学したあとは、常設展示に移動。展示は、2層に分かれる。 一つは、スカンジナビアデザインのストーリー展示。 古代バイキング時代の遺跡から出土したアクセサリーにはじまり、王侯時代の貴族のアクセサリーデザイン、日本美術の影響を説明するアールデコ、そしてミッドセンチュリーの家具の伝説のデザイナーたちを経て、戦後のインダストリアルデザインに至る流れを、一気に時代を追って、展示するスカンジナビアデザインストーリーの展示。 戦前、日本の女性解放運動にも多大な影響を

北欧旅⑦【フィン・ユール展(スウェーデン国立美術館)】

至極の朝焼けジョギングを終えて朝食を済ますと、1.3キロ先のスウェーデン国立美術館へ徒歩で向かう。 今回の旅は、宿泊先と飛行機以外、日々の訪問先はほとんど計画を立てず当日行き先を決めるスタイル。行きたい場所があったら、Google Mapで経路を調べてその通りに進むだけ。  ストックホルム中央駅構内を抜け、しばらくビルの合間を進みリラ湖に面した明るく開けた大通りに出る。眼前のストックホルム宮殿に通じる橋の下では、多くの人が、水路に流れ込む急流を利用して、スラロームカヌーやフ

北欧旅⑥【ストックホルム、朝焼けジョギング】

 翌朝6時起床、部屋の窓から見える朝焼けに誘われ、ジョギングに飛び出す。   「いいな、いいなぁ、これが首都の中心地、駅周辺の光景なんだよなぁ!なんてこった!信じられない!」と、ブツブツつぶやきながら、メーラレン湖の湖畔をiPhoneで写真を撮りながら、ロングホルメン島で折り返す12キロの夢見心地のランニング。さまざまな鳥のさえずりがBGM。   なにも言葉はいらない。

北欧旅⑤【Kulturnatt Stockholm 】

 ストックホルム中央駅前のホテルにチェックインして、部屋に入ると目の前にノーベル賞晩餐会会場として有名な市庁舎が、飛び込んできた。午後8時半の日没までまだ時間があったので、市庁舎周辺を散歩することにした。  すると、閉館時間は過ぎているはずの市庁舎に、次々と吸い込まれるように人々が入っていく。なんと、偶然にもその夜は年に一度、市内各所(王立博物館、市庁舎、ガムラ・スタンの教会など)が無料開放され、夕方から深夜まで様々な音楽や演劇のリサイタルが開催される”Kulturanat

北欧旅④【SJ2000でストックホルムへ】

 コペンハーゲン中央駅から、国境の町、マルメまで20分間の鉄道移動。ここから、スウェーデン国鉄の高速列車SJ2000に乗り換えて、首都ストックホルムを目指す。600kmの距離を5時間半かけて移動する。 最高時速200キロ前後と、日本の新幹線には最高速度では全くかなわないが、一等車両(といっても日本のグリーン車と自由席ほど値段の差はない)だと、2列+1列のゆったりしたシート構成な上、カーブで客車への遠心力を減じる車両傾斜機構を備えているそうで、走行時の快適性はこちらの方が圧倒

北欧旅③【チボリ公園】

ルイジアナ近代美術館からコペンハーゲンに戻り、遅い夕食は、”Hereford Beefstoruw"でスペアリブ。支払いを済ませ、通りに出ると、すぐ脇のチボリ公園入り口になにやら黒山の人だかり。入場券のチェックを受けゲートを越えるなり、次々と若者たちが歓声を上げて我先に駆け出していく。 「こんな時間に?遊園地に?若者たちが?なんで?」と、日本から来たばかりのオジさんも好奇心に背を押され、流れに身を任せるようにゲートをくぐり抜け入園。 すると、公園中央の広場で午後10時から

北欧旅②【ルイジアナ近代美術館】

夕方からは、コペンハーゲンから電車で30分揺られて、ルイジアナ近代美術館へ。こちらも予備知識は一切なく、隣国スウェーデンに家族で住んでいた飯田さんに勧められるままに足を伸ばした。 美術館に最寄りの駅に降り立つと、驚いたことにそこから美術館までの一キロ弱のエリア一帯が、すでに美術館の内部であるかのように、豊かな自然の中に包み込まれるようなシンプルな民家が、連なるように静かにたたずんでいた。 美術館の門をくぐると目の前に、バルト海に面した一切コンクリートの護岸が見当たらない自

北欧旅①【CapHorn】

GWは、コペンハーゲンとストックホルムそしてバルト海のゴットランド島を駆け足で巡ってきた。 朝、コペンハーゲン中央駅から、正面のチボリ公園横を通過し、ストロイエ通りへ。コペンハーゲン大学に面したPaludan's Book & Cafeで遅めの朝食をとった後、水上遊覧バスでニューハウンへ。 ニューハウンは、平田オリザさんの語るヨーロッパの街に必須の「広場」、コンゲンス・ニュートー広場を扇の要として、水路を囲むように王立劇場、オペラハウス、そして王立図書館ブラックダイアモン