見出し画像

集団心理について


日頃から、集団心理の存在を意識して、良い方向に活用することが大切です


〈目次〉
1.はじめに
2.集団心理の概要
3.集団心理が作用することで生じる現象
4.集団心理のメリット 
5.集団心理のデメリット 
6.まとめ


1.はじめに
皆さんは「集団心理」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

集団心理は、人間社会に多くの影響をおよぼします。そこで、今回は、この「集団心理」について解説いたします。


2.集団心理の概要

集団心理とは、人が集まったときに生じる集団特有の(1人のときとは異なる)心理状態を指します。

集団心理により、社会的に望ましい行動が促進されるなど、良い方向に作用することが期待されます。

その半面、合理的な判断が難しくなり、集団全体として極端な行動を引き起こる場合もあります。

集団ができると、集団内のメンバーが共有する思考・行動パターンが形成されます。

個人は、それにそった言動をしようとする中で、思考や判断、感情などに影響を受けるとされます。この状態は、集団心理が働いていると言えます。

また、集団内の価値観やルールから逸脱しないように、個人の意見・行動を集団に合わせるといった同調が生じることも集団心理によるものと言えます。

3.集団心理が作用することで生じる現象
集団心理が働くことで、どのような現象が生じるのか、いくつか例をあげます。

①匿名性が高まり、自己の言動に対する責任感が薄れる

不特定多数の中に混ざり、集団の一人となることで、自分の言動に対する責任感が薄れてしまいます。そのことによって、社会的モラルが低下しやすくなります。

個人1人であれば、その個人に責任が問われます。ただし、大勢(匿名性の高い状況)によって、誰の責任か分からなくなる、つまり責任が不透明になりやすいです。

例えば、SNSのように、大勢の利用者が匿名で発言できる場においては「どうせ誰か分からない」など、責任感やモラルが低下しやすくなり、過激な発言が起こりやすくなります。

また、匿名性が高く、責任が分散されている状況下において、人間は攻撃的になりやすくなりやすいと言われています。

②被暗示性が高まり、その場の雰囲気に従った言動となりやすい

集団の中の1人になると、被暗示性(暗示のかかりやすさ)が高くなり、その場の雰囲気に従った言動を取りやすいと言われています。

大勢が同じ言動をしていると、「周りがしているからそうなのだろう」と考えて、判断力が鈍くなり、簡単に誰かの意見に乗ったり、その場の雰囲気に合わせた言動を取りやすくなったりします

例えば、大して魅力を感じなかった商品でも、周囲がこぞって購入している様子を見ると、「周りが欲しがるならば良い商品だろう」と考えて購入してしまう現象(バンドワゴン効果)があげられます。

また、感情の影響も受けやすいと言われており、1人でいるときよりも感情的になったり、感情の起伏が大きくなったりします。

例えば、スポーツ観戦において、チームのサポーターが感情的に叫ぶなど、興奮した状態になっていると、1人だけ冷静でいることは難しく興奮した状態に陥り、感情的な判断をしやすくなります

③集団になると、自分が強くなったような力の錯覚を抱きやすい

大勢で集まると、自分が強くなったと錯覚しやすく、気が大きくなることもあげられます。1人では出来ないことでも、集団になって力を実感することで大胆に振る舞うことができるようになります。

例えば、喧嘩が強い集団と行動を共にしていることで、自分自身が大して強くないにもかかわらず、自分も強者であると錯覚し、気が大きくなるといったことが垣間見られます。 


4.集団心理のメリット 
集団心理の個人の言動に良い面にも悪い面にも影響を及ぼしています。まずは集団心理がもたらすメリットについて例をあげてみます。

①集団の結束力が強くなる 
集団心理が作用すると暗示性が高まり、個人の思考や判断に影響します。そして、集団で同じような言動を取ることで連帯感が高まり、集団内の結束が強くなることがあげられます

例えば、チームスポーツにおいては、集団心理が働くことで、意識や行動が統一されると、チームプレイが生じやすくなり、1人のとき以上の力が出せるなど良い影響を与えることが期待されます。

② 善意の行為に積極的に取り組みやすくなる
1人では不安だったり、恥ずかしいと感じたりしてなかなかできないことでも、集団であれば実行しやすくなります

例えば、街頭での募金の呼びかけや清掃活動など、1人だけでは気後れしてしまうことでも、周囲から呼びかけられたら、参加する人も少なからずいることと思われます。

集団でいると大胆になり、1人ではできないことにも挑戦できるといった集団心理を、望ましい活動に向けることができれば、その活動が広がっていき、結果として良い影響をもたらすことにつながります。

5.集団心理のデメリット
メリットがある半面、集団心理の働きがいじめにつながったりするなど、デメリットやリスクも存在しています。

① 集団によるいじめなど間違った行為につながる集団心理が働くと、自己の言動への責任感が薄れたり、冷静な判断ができず、集団に流されたりしやすくなります。集団によるいじめが生じたりする様子は、集団心理が悪い方向に作用する代表的な例と言えます。

1人であれば、いじめの是非を判断できる人でも、集団心理が働くと、モラルや罪悪感が低下したり、力を持ったと錯覚したりして、いじめ行為に及ぶことがあります。

② 判断や言動が極端・過激に傾くことがある
集団で何かを決める場面において、集団で討議をすると、個人で判断するときよりも、極端な意思決定になる傾向があると言われており、この現象は集団極化と表されます

特に、集団での意思決定が個人のものよりも過激な方向に向かうことをリスキーシフトと呼びます。

集団でいることで、自分が強くなった錯覚から、大胆で過激な発言をしたり、責任の所在が曖昧となるため、極端な発言をしたりします。極端で過激な発言が飛び交う中で意見が攻撃的になることもあり得ます。

また、1人では言えないことでも周りが言うならと同調したり、集団の雰囲気に流されたりする現象も生じます。このことがどんどんリスキーな方へと歯止めが掛からなくなることが懸念されます。

ときには、社会的な事件に発展することもありテロ行為(テロ行為に対しての報復)や戦争などもこうした集団極化の影響が考えられます。 


6.まとめ

集団心理は良い方向にも悪い方向にも作用するものです。

集団心理は、人が集まれば生じやすくなります。集団心理のメリットやデメリットで説明しましたが、集団心理は良い方向にも悪い方向にも作用するものです。

そのため、自分自身の言動をコントロールすることが肝要です。

例えば、集団心理の力を借りて、これまで踏み出せなかったことに挑戦してみたり、社会貢献活動を広げていったりするなど良い方向に活用することができます。

また、他人に流されやすくなったり、言動が極端で衝動的になったりする場合があるなど、集団心理のリスクを日頃から意識しておくことで、悪い方向に進まないよう立ち止まることが重要です。


以上


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?