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【読み: えぞりー】短い言葉をきりきりと研ぐのが好きです。実際に会うと話が長い人なので…

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【読み: えぞりー】短い言葉をきりきりと研ぐのが好きです。実際に会うと話が長い人なので反省しながら生きています。https://twitter.com/ezory

最近の記事

短文バトル「部屋」オススメ

与儀明子さんの作品が心に残りました。 https://note.com/yogi/n/n0bca0e0e5f46 自分も子どもだった頃、テーブルの下によくいたなとか、今当たり前に使っている水道やお風呂にも手が届かなかったなとか、懐かしい身体感覚を思い起こされました。

    • アダンソン

      去年の秋、居間で同じ蜘蛛をよく見かけた。 踏んだら嫌なので、毎回お外に逃していた。 しかしそいつは、執拗に戻ってくる。頭にきて検索したところ、アダンソンハエトリという種で「室内のコバエなどを餌にする益虫」だとあった。 部屋の中が狩場だったのだ。悪いことをしたなあと反省した。 以降「アダンソン」と愛称を与えられた蜘蛛は、つまみ出されることなく、見かけるたびに「よっ」と一方的に挨拶するまでの仲になった。 今年も彼が来るのを待っている。 ※短文バ

      • 短文バトル5「遅刻」オススメ

        一番ゆかいだった、深川さんのこの短文をオススメします。 https://note.com/fukagawa/n/ne94a43be6669 自転車で走り回って探す側はめちゃくちゃ大変でしたでしょう。そこと、お子さんのセリフのギャップがすてきでした。 こういう、ゆかいな文を自分も書けるようになりたいものです。

        • 妄想癖

          約束の時間を過ぎても相手が来ない。 電車でも止まったのか。 いや、もっとすごいことかもしれない。 「地下道は占拠した。こいつは人質だ」 爆弾を抱えた悪人が笑う。 もちろん人質は彼だ。 ヒーロー登場! 死闘を繰り広げる。 「早く行け!」 「えっ、でも……」 「お前には待っている人がいるだろう。私がヤツを引き止めている間に走れ!」 こうして彼は、涙を堪えてダッシュする。 後ろから爆音が響く。 「十分遅刻しちゃった、ごめん」 「いいよ」

        短文バトル「部屋」オススメ

          短文バトル4「紙」おすすめ編

          深川岳志さん。 自分はエディタの「紙」は使ったことはないのです。 でもシンプルでカッコいいソフト名はずっと覚えてます。 https://note.com/fukagawa/n/nf7259018845f りっきーさん。 「分厚い本を読み終えた時の感じ」私も好きなので。残りのページの大体が、目と指の両方で伝わってくるのは紙のいいところだなあと思います。 https://note.com/rics/n/na4fe76288b17 このふたつが特に好きでした。 次回も出れた

          短文バトル4「紙」おすすめ編

          短文バトル4「紙」

          紙の端で、スパッと指を切ることがある。 だいたい、血はあまり出ない。 なのにやけにジワジワ痛む。 そして、なぜか「裏切られた」と毎回思う。 これが包丁なら「私が悪かった、気をつけなければ」と反省するのに。 いや、違う。私が悪かったのかもしれない。 「本を置く場所がない」と友達に愚痴る。 「これ要らないや」と、チラシをマンションの共用のゴミ箱にその場で捨てる。 紙を愛さなくなった人間への、これは罰なのだ。 紙の神に許しを乞い、私はばんそ

          短文バトル4「紙」

          短文バトル2「コレクション」おすすめ

          リッキーさんの記事。 Twitterを使い始めの10年前くらいは、まさに他の方のツイートをコレクションしてたなと、懐かしい気分にもなった。 https://note.com/rics/n/n5adb7027c8c0 短文バトル、気軽に参加できて、他の方のを読むのも楽しいので、次もできたら参加したい。 自分のは少し叙情性が強すぎるなとか、なんせ短文なので癖がわかりやすいのもよい。 #短文バトル

          短文バトル2「コレクション」おすすめ

          琥珀色

          浜辺で琥珀を拾っていた時期がある、 一度目は、鉱物に詳しい方に教わった。 石炭の破片が漂着する場所には、小指の爪の半分ほどの琥珀も混ざっていることがあるのだ。講師料はラーメン一杯だった。 それからたまに、一人で探すようになった。三十分くらいやれば一個は見つかる。収穫物は洗って小瓶に貯めた。 中身が三分の一くらいになった時、私は結婚してその土地を離れた。 まだ手元にある小瓶を、たまに日に透かす。 価値は特にないけれど、柔らかな、本当の琥珀色が

          琥珀色

          短文バトル222-1「徹夜」

          「テ」はテレホーダイのテ、徹夜のテ。 あの頃、23時から翌朝まで何度語り合っただろう。LINEよりもはるかに遅いチャットで。 今振り返ると、何をどう話していたのかさっぱり覚えていない。しかし、一夜でも共に同じ焚火を囲んだ人たちが、その後も幸せでありますようにと願っている。 会いたいわけでも、再びチャットに集いたいわけでもない。ただ、自分の人生に少しでも関わっていた人が不幸になってほしくない。この気持ちを何と呼べばいいのか、私はまだ知らない。 #短文バトル2

          短文バトル222-1「徹夜」

          「Return of the Obra Dinn」と過去と真実というもの(ネタバレ抜き感想)

          PC版が出たとき、TwitterのTLで「すごい」「難しいー!」と話題になっていたソフトのSwitch版が出たんですよ。いい時代です。 で、PVなどを見ていると「これは面白い予感がする!」ってなわけで買いました。「Return of the Obra Dinn」(オブラ・ディン号の帰還)。 ただその日は、お腹の調子がかなりイマイチで弱り気味、大変しけた休日でして、始めた時は「ま、ちょっと冒頭だけでも触ってみるか~」程度の認識だったのです。Switchの携帯モードはごろ

          「Return of the Obra Dinn」と過去と真実というもの(ネタバレ抜き感想)

          いいから今すぐ「堕天作戦」を読んでほしい

          https://www.urasunday.com/daten/index.html 山本章一の漫画「堕天作戦」(現在、単行本は4巻まで発売中)が、なんと4/9まで全話無料!読むしかねえ! 読んで! 実際の友人知人、相互フォロワーさんレベルなら、もし「面白くなかった」って感想だったらおわびにカクテル(もちろんノンアルコールでも!)を一杯、おごるので読んで!! って漫画です。 ではなぜそこまで推すのか。そりゃあ「面白いから」ですけど、そんなこと言われても困ると思うんで、な

          いいから今すぐ「堕天作戦」を読んでほしい

          ザ・ラスト・インプロヴァイザーズ

          「三分は長すぎる。二分」 告げられた残り時間。今、額に強く押し付けられた銃口から、弾が発射されるまでの。 この大口径の拳銃なら頭の上半分が軽く吹っ飛ぶだろう──額に銃口の痕がつくかもなんて心配、普通なら間違ってる。 でも鏡でその結果を、再び自分の顔を見るまで生きたいと俺は思う。 「……せめて、銃を離せ」 かすれ声でも、まだ喋れるのは上出来。二日半、食物も水も与えられなかったことを加味すれば。 拳銃の持ち主──額に横一文字の傷跡が走る中年男は、ふんと笑い数歩後ろに下

          ザ・ラスト・インプロヴァイザーズ