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生保受給者の部屋探し②

昨日の続きです。
生活保護受給者がどうやって住まいを探すのか?
都心でひとり暮らしをするわたしの場合はこうでした。

  1. 住みたい部屋の条件を洗い出す

  2. 福祉課に地域の不動産屋を紹介してもらう

  3. 住みたい部屋の条件を不動産屋に共有する

  4. 賃貸情報サイトを片っ端から閲覧する

  5. 見つけた物件は不動産屋に伝えて、現状を確認してもらう

  6. 内見は遠慮しない


2.福祉課に地域の不動産屋を紹介してもらう

わたしがとても幸運だったことのひとつに、婦人相談員から不動産屋を紹介してもらえたことがある。
保護を受けた区に根付いた小規模な不動産屋で、生活保護受給者の賃貸探しにとても協力的だった。仮にここではA不動産としておく。
このA不動産が管理している物件を紹介してもらった…のではなく、A不動産が持つ不動産屋同士の横のつながりを最大限活用してもらい、部屋探しをスムーズにしたという感じだ。
もちろん物件を紹介してもらったし、内見の際にはクルマを出してもらった。ウェブでイイ感じの物件があればURLを送って、管理会社に空き状況を確認してもらったりもした。
部屋探しの窓口、仲介役になってもらったのだ。

それというのも、やはり「生活保護受給者には物件を貸せない」としている大家や不動産屋は多く、受給者個人で部屋探しをするには限界がある。

A不動産を紹介してもらう少し前、賃貸情報サイトに掲載されている物件の管理会社数件に、わたしは直接電話をかけた。
どれもとても条件のいい物件だったのだが、生保受給者であると告げると「うちは生保ダメなんですよ」とあっさり断られてしまった。
そのうちの一件では「ご結婚はされてますか?お子さんは?」と質問され、結婚してないし子どももいないと答えると、「あー、それじゃあダメですね」と言われて、ものすごくびっくりした。
生保受給者でも結婚していれば、あるいは子どもがいれば、部屋が借りれたのだろうか?
面食らっているうちに電話が切れたので訊けなかったが、質問してみればよかったと思う。

よくよく思い返せば、生保受給前にも部屋探しをするたびに、理不尽な目に遭っていた。
ひとりで部屋探しをすると信じられないくらい無礼な態度を取られたり、物件そのものを出し惜しみされたりする。
条件に合わない物件を平然と出してこられるし、「別のひとも狙っている物件なので今すぐ決めないとなくなりますよ」という遠回しな脅しが当たり前に頻発するので、笑顔で回避する対策まで立てたほどだ。
名前を挙げれば誰でも知っているであろう大手仲介業者の店舗に「ごめんください」と入っていったら、挨拶もされなかったということもある。
よっぽどわたしが貧乏くさい冷やかしに見えたか、若い女の一見客は雑にあしらっていいという風潮があったのか。今となっては分からないが。
そのような経験をスナックや性風俗で話してみたところ、男達の多くは「そんなこと現実にあるの?」「自分はそんな目に遭ったことないけどなあ」「話盛ってるよね?」と訝しんでいたので、なるほど女と男で見えている景色が違うというやつだなと納得した次第だ。

生保受給者に限らず女性がひとりで部屋探しをすると、そういった理不尽なストレスとも戦わなければならなくなる。当然、いい物件に出会うチャンスそのものが奪われかねない。
ひとりだと部屋も貸してもらえないのかと腹は立つが、女性は理不尽や不快や危険を避けるためにも、ぜひ協力者を得て部屋探しをしてほしい。生活保護受給者であれば、なおのこと。

保護を受けている福祉課に相談して地域の不動産屋を紹介してもらうのが一番だと思うが、そういったことに協力的でない自治体もあるのが現実だ。
その場合には、民間の支援団体を頼るという手もありだ。

反貧困ネットワークは、わたしも少しだけお世話になった団体だ。

また、最近では生活保護受給者向けの賃貸情報サイトもある。
実際に利用したことがないのでたしかなことは言えないが、そちらから問い合わせをするというのもありかもしれない。


3.住みたい部屋の条件を不動産屋に共有する

A不動産を紹介してもらって、次にわたしがしたことは、自分が住みたい部屋の条件を共有することだった。
なにはなくとも、どんな部屋がいいのか、どの点は妥協できるのか、それを擦り合わせしないことには始まらない。
キッチンの使い勝手を優先したいという話は、それはもうしつこいくらいくり返した
昨日も書いたことだが、わたしがどんな設備や条件を求めているか、それはわたし自身だけが知っていることだ。
不動産屋に仲介を頼むにせよ、友人知人もしくは支援団体に協力してもらうにせよ、自分はなにを求めていてどうしたいのかということは、きちんと伝えるべきだろう。

A不動産の方がとても親身になって話を聞いてくれたことは、わたしにとって本当に幸運だった。そうでなければ、生保を受給しているという肩身の狭さから、つい「住めればなんでもいいです」と言ってしまっていただろう。

なんでもいいわけがないのだ。
だって毎日そこで寝起きするのだから。食事をし、好きなポストカードを飾り、音楽を聴いて、無防備に眠り、健やかに歯磨きや着替えや排泄や洗濯をするのだ。なんでもいいわけがない。
昨日も書いたことで恐縮だが、それは生活保護受給者だって同じだ。



今日はこのへんで。
続きはまた明日。

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