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倒産させない絶対経営10の原則を読んで

2023年11月1日発行の書籍で、石川県の平鍛造を100億円の会社に育てられた平美都江さんが書かれた本です。
 一言でいうと、会社を倒産させずに成長させるために必要な考え方や手法をご自身の経験から10個述べられている書籍です。ご自身で大変な苦労をされてきた経験をもとにして書かれているので説得力のある内容だと思います。特に、ご自身がオーナー経営者をされていて、幾つもの困難に直面し、もがきながらも会社を成長させようという方々に読んでいただくと良いと思いました。

 この本は、上場企業や既に安定に経営できている企業に勤めていて、その中で上位サラリーマンを目指す方には、ピンとこない内容も含まれているかもしれません。

 この本には10個の原則が述べられていて、それぞれは是非書籍を読んでいただきたいのですが、そこに書かれていた内容についての感想を簡易に残しておきたいと思います。

原則1:ライバル分析の原則  これは私の学んだ経営学でも3C(自社 Company,  競合Competior, 市場Customer)に分けて考えるという軸の1つに入っていることですが、自社の競合がだれのか?どういう戦略で、どういう規模で、どういう製品やサービスを提供していて、自社にとってどういう競争相手なのか、ということをしっかり調べるということが大切であるという部分で内容的に違和感はありませんでした。

原則2:3分割の原則 事業や社会の変化リスクを考えると事業分野を3つにわける、製品種を3つに分ける、顧客層を3つに分けるという考え方だと思いました。一方、下記で述べるスピードの原則ででてくるスピードアップの原則を同時に展開することも難しく、現実には、重点化、優先順位付けが必要だろうと思いました。

原則3:現金最優先の原則  これも自身の経験からある程度わかりますが、切迫してきた時には手持ちのキャッシュしか頼るものは無いことを再確認しました。経営がうまくいかない局面で皆が冷たくなるというのは薄々理解しております。

原則4:アップデートの原則 世の中の動向を察知して、先を読みながら動くというのは、企業の大小を問わず非常に重要であると思います。ここのアンテナが広くとっており、社会情勢だけでなく、日々の生活からわかる動向も注意しています。

原則5:スピードの原則 一般的に言われていることですが、自身の問題に置き換えて考えるとなんとなく放置していることも多くあり、かといって、全てを同時に進められないので、重点項目を決めて速度を早める必要があると感じています。ここは集中と選択、私の苦手な部分です。

原則6:設備投資の原則  この部分で設備を使った製造業では確かに言えるな、と思う一方、多様な業種があり、設備に頼らない事業において、これをどのように解釈して適用するのか、ここの部分を知りたいとおもいました。

原則7 報酬の原則  多能工化については平成建設の例を知っておりましたが私もより積極的にやろうと思いました。経営者の報酬の考え方についても参考となる考え方にアップデートできました。

原則8 自己責任の原則  私は、日本人が軽く使う、自己責任という言葉があまり好きではないのです。経営者としては、良いことがあっても悪いことがあっても結局全責任があるという自覚という意味での自己責任は理解しているつもりです。

原則9 トップ営業の原則  これは実践しております。というか事実上自分しか営業していないので、今後、少人数でよいので組織化を考えます。

原則10 コンプライアンスの原則  言うまでもないですが、特に昨今はコンプライアンスは厳しい時代になっており、自身だけでなく一緒に仕事しているメンバへの啓蒙が大切だとおもいます。また、コンプライアンス、不正が起きない会社の仕組みを構成することが大事だと思っております。

感想: 非上場企業の経営者にとって、うすうす知っているけれどそれを実例とともに説明してくれている書籍としてありがたいです。幾つかの情報は知らなかったこともあり、新たな仕組みを考えたいと思いました。
 一方、一定の価値提供ができる一定の組織(つまりお父様の平鍛造があった)ということがこの書籍のスタートになっており、ゼロイチの起業ではないのも理解しました。私としては、そもそも何の事業を手掛けるべきなのか?初期の事業をどのように立ち上げていくのか?。顧客、資金、契約、メンバ、設備、などの小さいけど経営体としてまとめながら、事業の成立性をどのように確保するのか?そして、そこから例えば年商数億円レベルに持っていく段階をどのように進め、種々訪れる諸問題を解決していったのか、という部分をもっと知りたいと思いました。

 一般的なMBAのような経営管理学では、もう少し大きな事業で顧客や従業員、パートナーとの関係が既に回っているような企業で役立つ内容を教えているようにおもいます。一方、自身で起業して零細からスタートして、どのように事業を成長させていくのか、という部分、日々やってくる難題をどのようにして解決しながら生き延び、成長させていくのか、という事例はMBAコースでは、あまり扱わないとおもいます。ここの部分を補ってくれる良い本だと思います。

 私自身は、長く大企業で働き、それに疑いもなかったのですが、MBA取得以降、多くの産業や経営者の方々とお話しさせて頂く様になりました。本当の意味の立派な経営者は、ご自身がオーナーをされていて立派な業績をだされている非上場企業に多くおられるのではないか、と思うようになっております。経営者があつまるコミュニティにも参加しておりますが、非上場の大企業の経営者の見識や責任感は、上場企業の役員の皆様とは、少し視座が違うと感じています。もちろん、上場企業の経営者は、大きな資本や人的資源をもった企業で国や世界に貢献する規模の事業を牽引され、たくさんの顧客、従業員、取引先の方々と連携して事業を運営されており、これはすごいことであると思うのです。非上場企業では、オーナー自身が資本を投下して立ち上げて成長させ、オーナーがその会社を保有し、実質オーナーの責任で事業をやっている訳です。そして最後には、作ってきた会社の所有権をだれに渡すのか?を決める重大な責務も発生します。上場企業の経営者の場合、株主の任命によって経営者をやっており、最後は退任することで責務を果たせる訳で、つまりある意味のサラリーマン的でもあり、そこが根本的に異なると感じております。

ありがとうございました。



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