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■本と私 1/『日々ごはん①』他 高山なおみ



「あなたは読書家ですか」と問われたら、
「いいえ、ちがいます」と答えると思う。
「読書が好きですか」と問われたら、
「そうでもないかもしれない」と答えると思う。

間断なくせっせと冊数を重ねてゆくタイプではない。普段、ほとんど本には手を伸ばさないと言っても過言ではない。
頭を使って文章を読み込むタイプの本は元来苦手だ。頑張って読んで、そして何も覚えていない。
ひとに勧められても、読みゃしない。
読書家とか読書好きとか、そういう過ごしたものでは多分ないので、稀にそのように評されると、何だか後ろめたい。

匂いがしたり、空気のつぶを感じられたり、そういう立体に情景がたちあがる言葉が綴られている文章の中に入り込み、そこで幻惑されているのが好きだ。
だから、そういう書き手の作品ばかりが手もとに残っている。
追い求めず、何かの拍子に偶然手にとり、いつのまにか気に入りになったもの。止むに止まれず自然とぐいぐい読み進めたもの。そういうのを、気持ちが向いた時、くり返し読んでいる。



高山なおみさんの書く文章は、瑞々しい。

格好つけない、正直なことばが、細かな日々のひだを表現する。
ごはん、草木、気候、出来事、人びと、思い。
延々と、ただその世界を浴びているのが心地よくて、よく手にとる。
レシピは、気づいたらあんまり参考にしていない。それこそ読書好きと思われる高山さんのおすすめの本は、少し読んだ。



嘘が滲んでいる文章を読むことって、結構ある。
自分も書いてしまう事がある。
本心と違う事を書かれると、読み手は白けるものだよな。
誰かが書いた文章に違和感を感じることがままあったけれど、その理由がなんとなくわかりそうな今日この頃です。



特別編の『フランス日記』も気に入り。

私の夫の姉夫婦が、フランスに暮らしている。
だから少しだけフランスには親近感。

夫との新婚旅行も行き先はパリ。
パリばかり1週間歩き廻ったのを思い出す。

ホテルの窓辺のゼラニウム。

地下鉄の駅。

鴨のコンフィ、豆の煮たやつ。

カフェのおどけたおじさん、
びしばしと食し方を指導してくれたお姉さん。

ああ、またパリに行きたいなあ。


写真には
義姉に貰った、
今はなきノートルダム大聖堂のガーゴイルが
ちょろり。


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