スクリーンショット_2018-07-05_20

茂木氏「脳科学から見た人工知能のシンギュラリティ」に参加してきた

公演のタイトルを見て、面白そうだったので、すぐに申し込みして参加してきました。当日、会場は満員御礼でした。
勉強不足で理解が追いつかない部分も多々あったのですが、気になった部分と自分の仕事のユーザ調査に少し絡めて書いておこうと思います。

目次:
1. シンギュラリティはすでに起きている
2. ユーザ調査と人工知能
3. イーロンマスク
4. まとめ
5.オマケ

1. シンギュラリティはすでに起きている

「シンギュラリティ」をインターネットで検索すると、「技術の向上により人類に代わって、人工知能が人間の知性を超え生活へも大きなインパクトを与える」というような形で言われていることが多いかと思います。レイ・カーツワイル博士はそれが2045年までに起こると提唱しているそうです。

2001年宇宙の旅のHAL、ターミネーターのスカイネットなどが思い浮かびますね。

しかし、茂木氏の視点ではシンギュラリティはすでに起きているということでした。

トンボのように飛ぶことはできないが、すでに飛行機のように翼で飛ぶことは可能でしょ?と。
将棋についてのお話もあり、人工知能は大量のデータ処理に長けているが、脳は情報処理の量に制約があり、かつ何が危険であるかというような本能レベルでの判断も入るため、打ち手が限られ、人間ははもう太刀打ちできないとのこと。
ただ、将棋自体がなくなるわけではなく、スポーツのように人間vs人間の勝負を楽しむ色合いがより強くなっていくのではないかということをおっしゃっていました。
藤井7段はAIで勉強した初めての世代で、今までの常識では考えられない手を打てるのが強みであるそうです。
語学の勉強などもAIの活用が進んできているそうで、これからものすごいスピードで色々なことを学習できるようになる時代が到来しそうです。楽しみ。

話は矛盾しますが、先日インタビューで藤井7段はAIでも思いついかない手を人間は打つことができると言っていました。
負けず嫌いで有名な藤井さんの強い意志を感じた瞬間でした。

このように、人間にはできなかったことが可能になっていくことが増えていき、便利な世の中にになっていくのは間違いと思います。
一方で、仕事が奪われてしまうのではないかという不安もつきまといます。

デザインやマーケティングの分野においても、「Adobe Sensei」などが出てきて自動化が進んでいます。
過去を振り返ると、技術革新によってヒトに求められることは、変化してきている歴史があります。ヒトは職業を作る種だという話もありますが、今回は新しい仕事を作る前に仕事が減るのではという研究もあります。その時が来た時に慌てないよう、常に少し先を見据え、思考に柔軟性を持ち、対応していく準備をしておきたいです。


2.ユーザ調査と人工知能

私はアプリやウェブのユーザの利用状況調査などを行っているので、その視点で見ると、定量調査は基本的には構造化されたデータのため、人工知能を利用した分析と相性が良いように思いますが、定性調査である、インタビュー調査やユーザビリティテストなどについてはどうでしょうか。
得られるデータは話し言葉であり、声のトーンや行間など個人ごとの癖があったり、表情、行動などの情報のため、AIでの分析は難しい部分もあるかもしれません。ただし、モデレータ、発話録作成、簡易分析などでは一部AIを利用できそうなものもあるように感じてます。
AIと補完関係で仕事ができるようになると、業務の効率化が促されて現在こなせる数以上の調査が可能になり、世の中により良い製品やサービスを出して行くことが可能になります。
この分野でも、すでに様々な試みがなされているようなので、期待したいと思います。


3. イーロンマスク

AIの業界を追うには「LessWrong Blog」がオススメということでした。論文だと査読などもあり発表する側もスピードが遅くなってしまうので、新しい情報はこちらのブログでどんどん発表されているとおっしゃっていました。
その流れで、ハイパーループの仕様書をPDFでサクッと公開したイーロンマスク氏は凄いというお話をされていました。また、イーロンタイムという彼自身独自の時間の感覚(時間密度か濃ゆい)があるそうです。
SpaceXの社員はイーロンタイムのスピード感に近づけるよう日々努力しているのでしょうか。
10年以内に地球内をロケットで移動することや、火星へ行くことなどを掲げていると耳にしたことがあります。
また、イーロンマスクとガールフレンドのグライムスとの出会いは、まさに先ほどのAIコミュニティ「LessWrong Blog」でのネタをジョークでつぶやいて、それを偶然目にしてから意気投合したのがきっかけだったそうです。
グライムスは独学で音楽制作しているカナダのアーティストです。その彼女がAIコミュニティーをウォッチしていたという興味関心の幅広さに関心させられます。

1つロマンを感じる動画のご紹介がありましたので共有です。

こちらの動画の後に、ヒトは無重力の状態だと認知力が落ちるというお話がありました。
宇宙船の中で使用する製品に関しては、実際のコンテクストに沿った無重力状態でのユーザビリティテストが非常に重要になりますね。
(大変興味深いので、検索したところ、SpaceX社で「Usability and research practice lead」という職種が以前募集されていました)

ここからは少しこぼれ話。
慶應大学のチームがハイパーループのコンペに勝ち残り、今夏にプレゼンに行くそうです。
こちらも”イーロンタイム”発動で、数ヶ月ほど前倒す内容のemailが突然飛んできて、大慌てしているとのことでした。(苦笑)


4. まとめ

・「シンギュラリティ」についての解釈については、様々な視点がある
・人工知能の今後のさらなる進化を恐れずに、上手に付き合っていくための探索が必要
・既存の知識や意識に凝り固まらず、広い視野を持ち様々な情報に触れ、epiphanyする
・認知や記憶などヒトの脳についての研究も進み、新しい事実が出てきそう

シンギュラリティから今後求められる行動や考え方のお話の中に、トランスヒューマニズム、AIはLast invention、Yuddowsky(Coherent Extrapolated Volition)、Boston Dynamics、など様々な気になるキーワードが散りばめられており、あっという間の90分でした。

倫理や哲学などにも関係して、controversialな話題ではありますが、今後も気にしておきたいテーマでした。


5.オマケ

Grimes

BostonDynamics




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?