オルタナ地平線

先日、IInto It. Over It.の公演を渋谷へ観に行った。

力強い演奏、とても素晴らしいライブだった。
何センチではなく何インチでやり取りされる、ささやかに、
一回り大きなスケールの世界音に触れた気持ちになり嬉しかった。

「IIOIを楽しみにしているリスナーってどんな人々なのだろう。』
ふわっとそんなことも気になりながら開演を待っていた。

IIOIは、個人的にはエモ、オルタナ、マス、プログレといった要素を持っているバンドと認識している。
しかし、そのパフォーマンスは、マニアックかつとても繊細なプレイによって構成されている。
具体的な箇所としては、変則チューニングヴァリエーション。曲ごとにギターのチューニングを変えていたり、プレイスタイルも変えることで、
実に現代的なロックサウンドを奏でている。

IIOIのサウンドの根本には間違いなくマイナースレットのような80sハードコアとweezerなどの90sグランジオルタナが流れている。
熱心なリスナーは、アメフトやチア部に所属しているようなキャラクターではまずないと思っている。
情熱を持ちひっそり独り部屋でCDに耳傾けるような眼鏡学生たち。だ。

2023エモオルタナ地平として会場に目を向けるとそこには、
・オルタナティブミュージックを愛するおじ様達
・絶え間ないシンガロングキッズ
といった風景だった。もちろんおじ様達に自分も含まれます。

演奏中、キッズの一人がステージに上がり会場へダイヴした。
上がったステージから客席の皆に向かって、「こいよこいよ」とジェスチャーが印象的だった。
ジェスチャー後にしたダイヴに応えられた人はごく少数だった。
その行為がきっかけでダイヴァーとおじ様の間で競合いも起きてしまった。
幸い、騒ぎは大きくならず一過性のものとしてライブは和やかにクローズした。

気持ちが高揚してダイヴする。
その日の当事者だけのイレギュラーな行為だったのかもしれないが、
日本のオルタナおじさん界隈の作法として馴染みがない。

そう、2023オルタナ地平線
このひ、新世代オルタナリスナーとしてシンガロングキッズの存在に気づいたのであった。

シンガロングキッズのダイヴは、80sハードコアおじさんのそれの再来なのであろうか。
いや、コロナ禍における規制以降のバックラッシュのようにも思える。

その地平線には何が見えるのか。
オルタナの地平に想い馳せつつ過ごしている。


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