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良い設計士と現場代理人の定義とは

悲しい知らせが続いております。
昨年に前職の設計士が病いで亡くなり、数日前に前職の現場監督の訃報が届きました。

御二方とは、東日本大震災の食品工場建設で、チームを組み、グッドデザイン賞を受賞しました。

休憩室

設計士さんは、当時50代後半、穏やかな笑顔が特徴的で、常にニコニコされておられました。生まれながら身体は強く無いものの、
人を包み込む雰囲気を纏ってました。

お客様の難しい要求や、私の生意気な意見に困りながらも、対応して頂く姿が印象的でした。
食品工場設計の経験は無いものの、「分からないことは、言葉を変え理解」に妥協しない姿はお客様の不安を安心に、安心を信頼に変えました。

現場監督さんは、高校卒業から現場管理歴40年、BCS賞の現場管理もされた大ベテラン。
施主や協力業者にも強気な対応により、誤解を招きましたが「口が悪くとも、面倒見が良い」
昔気質の現場代理人です。
打合せ序盤こそ、顧客に良く思われませんでしたが、数多くの経験から先回りの提案や人情味から親友のような関係となってました。

お二人に共通点は「顧客に対して、人間的側面でお付き合いしていた」ことです。

施主様の復興の事業に、真摯に取り組み、現場代理人の趣味である鮎釣りや山菜取りでのバーベキューや飲み会、二次会でのカラオケなど、顧客と建設会社ではなく、親友のような関係となった楽しいプロジェクトでしたが、終わりはやってきます。
竣工間際、施主様より「このメンバーと会えないことが寂しい、ずっと続いてほしい」との言葉は最上のお言葉を頂戴しました。
もちろん、竣工後も工場での宴会や、定期的な良い関係は続きました。亡くなる数ヶ月前まで現場監督はこの施主様に連絡をしていたそうです。施主と現場監督がこの様な関係性になるケースは稀だと思います。

そんなお二人と一緒にお仕事をさせていただき、表現が稚拙ですが、良い設計士、現場監督の定義は「人間的な側面で、施主に本気に向き合う」ことだと私は考えます。

2024年問題や入職者不足など建設業界には暗い話題が沢山であり、DX化や効率化が優先される時代ですが、「義理人情」や「コミニケーション」を欠くことこそ、建設業界の醍醐味を失い、業界の衰退になるのでは?

採算性、効率性、利益も企業活動には大切ですが、それだけの価値観での仕事はなんだか寂しさを感じます。
不効率性の大切さを学び、私の進む道標となったお二人へ感謝と哀悼を込めて文章にしました。
感情を留めることの出来ず、乱文noteとなったことをお許しください。

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