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連載「サイボーグの哲学」

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執筆者:工藤孝史  人間は「自分のことをあれこれと考える」不思議な生き物。おもにデカルトの「情念論」を土台に「心」とはなにか、「からだ」とは何かを「サイボーグ」キイワードに考えま… もっと読む
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サイボーグの哲学第3回

サイボーグの哲学第3回

〜前回(第2回)のまとめ〜

・デカルトは「人間とは何か」を考察するに当たって「心:mind」と「身体:body」という二つの側面からこれを説明しようと試みました。

・その哲学的立場、あるいは彼の主張の問題領域は、しばしば「心身問題」「心身二元論」「動物機械論」などと呼ばれます。

・デカルトは、結論から言うと、人間には「心」と「身体」の合一(統合)を認めましたが、動物や機械には「心」の存在を認

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サイボーグの哲学第2回

サイボーグの哲学第2回

【おわび】

「次回から本題に入りたいと思います。」と書いてからなんと20ヶ月もの月日が流れてしました。結果的に「連載」と銘打ちながらも、長きにわたり一回目しか掲載がないということになってしまい、なんともお詫びのしようもありません。この間いろいろとありましたが言い訳をしても始まりませんので、これからなんとか定期的に稿を進めたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

【はじめに】 

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サイボーグの哲学 第1回 考察の出発点

サイボーグの哲学 第1回 考察の出発点

~連載をはじめるにあたって~
 
 「サイボーグの哲学」というこの連載で私が考えようと思っているのは、実はサイボーグのことではなく人間のことです。私は自身の職業のこともあって、比較的長いことデカルトの著作、なかでもおもに『情念論』という著作をたよりに、人間というのは一体どういう生き物なのか、ということを考えてきました。

 じつは今になっても考えをきちんとまとめることはできません。きっと「まとめ」

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