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「DX成功の鍵:見えないもの触れないものに焦点を当てる」

日本人は目に見えないものや触れないものに意識が向きにくいという記事を読んだことあります。
これはやや古い日経ビジネスの記事ですが、筆者によるともっと前から書いているとのことなので、他にもあるのでしょうし、他の方の別メディアでも同様の問題意識について書かれた記事を読んだことがあります。

つまり、日本人は目に見えるものや触れるもの、つまり現物を磨いていくことは得意でも、目に見えないものや触れないものについては大切だと思っていない、あるいは認識が乏しい(不得意)、つまり論理空間認識能力が欠如しているというお話です。

DX時代に致命的な論理空間認識能力の欠如

しかし、このことは、情報技術の劇的な進歩によってコンピュータとネットワークによって実現した論理空間にソフトウェア化した企業および企業間で論理的に連携したエコシステムを構築し、論理空間から物理空間を現地現物を最適化して創造した価値を顧客に届け、その価値を発揮してもらうようにするという、デジタルトランスフォーメーション後の競争環境においては、致命的であり、その問題は日々大きくなっている、言い換えれば、他国と日本の差は日々広がっているというわけです。

現象としてのITガラパゴス

noteを始めたころから、日本のガラパゴス化したITについていくつも記事にしていますが、これは多くの日本人の論理空間認識能力の欠如を原因とする現象でしかないと言っても過言ではないでしょう。

ITが特殊な人達のままの日本企業

必要悪とも言える事務処理を合理化するためにコンピュータの活用を始めたこと自体に問題はありませんが、いまだにその延長から抜け出さず、コンピュータの仕事をする人達を特殊な人達としてIT部門やIT子会社に閉じ込め、「ITのことは難しい、よくわからない」と開き直り、自分たちの問題としない経営陣やその取り巻きたる部門長以下の人達という構図の日本と

ITで経営を高度化する他の国の企業

ITを特殊なものとせずに企業のソフトウェア化を進め、企業活動全体のモニタリングや、データに基づくマネジメント、リアルタイムでの情報共有によって、経営を高度し、企業の最適化を追求しつづける他の国の企業の経営陣や部門長以下の人達とは全く異なる形になってしまっています。

真因は学校教育にあり

例えば、論理空間認識能力の前提となるメタ認知は、私の知る限りでもベルギーでは小学校4年生から行うディベートによって培われる俯瞰力が基礎になるでしょう。

メタ認知とは、自分自身の学習プロセスや思考プロセスについての自己認識や自己理解のことを指します。大きく分けて、自分がどのように学習し、理解し、問題を解決しているかについてのメタ認知的知識・評価と、そのプロセスを効果的に制御し調整するメタ認知的制御を含みます。
メタ認知能力は、効果的な学習や問題解決に不可欠であり、自分の学習プロセスを理解し管理することで、より深い学びや自己調整が可能になります。この能力は、自己反省や自己問いかけを通じて、意識的に育成することができます。

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しかし、残念ながら、日本では、一部の私立の学校を除いてディベートが学校教育で行われることはありません。実際、思考力育成中心の米国や欧州の学校教育と知識習得中心の日本の学校教育とは90度違います。どちらも重要ですが、知識は思考のための手段であり、人生の目的ではありません。知識は目的のために学習すれば良く、目的はそれぞれ異なっていいのです。
参考として、以下の記事に掲載した図を再掲します。

私は、日本人の論理空間認識能力の欠如はおろか、基礎中の基礎であるメタ認知能力にも不足が見られることの真因は、思考力訓練を軽視した(敢えて外した可能性もあり)、知識習得中心の学校教育(戦前がどうだったかは不明)にあると考えています。

学校教育との空白を埋める

結局、Methodologyを使いこなすようになるために何をすべきかという結論と一緒になってしまいましたが、企業としては学校教育が変わり、その卒業生が入ってくるを待っていられませんので、以下のような取り組みを実施し、今いる人達の訓練を施さざるを得ません。

  1. 継続的な教育プログラムの実施
    企業内での継続的な教育プログラムを設け、従業員が新しいスキルを身に付けられるeラーニング、ワークショップ、セミナーなどの機会を提供する。

  2. メンターシップとコーチング
    経験豊富なメンターやコーチを配置し、従業員が学びを深め、問題解決や批判的思考能力を発展させるサポートサービスを提供する。

  3. プロジェクトベースの学習
    実際のビジネスプロジェクトを通じて学ぶことで、理論を実践に結びつけ、学んだスキルを実際の業務に適用する機会を提供する。

  4. 異文化交流プログラム
    海外研修や異文化交流プログラムを通じて、異なる視点を学び、国際的な視野を広げる。

  5. フィードバックと評価システムの強化
    定期的なフィードバックを伴った評価システムを通じて、従業員が自身の進捗と成長を理解し、向上するための具体的な方法を学ぶ。
    (マネージャへの考課者訓練などによるスキルアップが大前提)

  6. 社内イノベーションと創造性の奨励
    社内でのイノベーションや創造的な取り組みを奨励し、従業員が新しいアイデアを自由に提案できる環境を作る。

  7. 学習と成長の文化の醸成
    会社全体として、学習と個人の成長を重視する文化を醸成し、それをビジネスの成功と直接結び付ける。

  8. 技術の活用
    eラーニングプラットフォームや最新の教育技術を活用して、柔軟かつ効率的な学習機会を提供する。

  9. 多様性の促進
    多様な背景を持つ従業員がお互いから学び合うことで、異なる視点やアプローチを理解し、より幅広い視野を持つことができます。

そして、この変化に対する抵抗を最小限に抑えるためには、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチが必要で、トップマネジメントが強力なリーダーシップを発揮し、全社的な取り組みを支援する一方で、一人ひとりが学習への意欲を持ち、自己成長に取り組む必要があります。
一方、成長意欲に欠け、収奪中心の生き方から変えられない人には不利な環境を作り、速やかに外に出て行ってもらう工夫も必要でしょう。

見えないもの触れないものに焦点を当てる

地道な取り組みを繰り返し継続して、見えないもの触れないものに焦点を当てるための論理空間認識能力を開発し、みせかけだけのデジタルトランスフォーメーションから脱却できれば、元々見えるもの触れるものを磨く能力の高い日本企業の競争優位性を存分に活かしていけるはずです。

#DX
#デジタルトランスフォーメーション

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