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「DX成功の鍵:IT子会社の解散」

決してIT子会社の人達が悪いわけではありませんが、IT子会社を抱えているという伝統的な日本企業の構造がDXのボトルネックになっている現実から、経営者は目を背けないで欲しいと思います。

経営者を筆頭にして、システム/ITの事はよくわからないと言って憚らない親会社やグループ会社の人達と、彼らにシステムの事を丸投げされて請け負うことを営みとしているIT子会社の人達という構造で、DXなど上手く行くわけがありません。単なるIT化をDXと言って誤魔化すのは、(もしかしたらIT化=DXだと思っている可能性も大いにあるが・・・)、本当にやめた方がいい。

IT子会社にとっては、「その業務プロセスが非競争領域だからカスタムメイドやパッケージのカスタマイズやアドオンはやめて、SaaSをノンカスタマイズで活用していきましょう」とか、「業務プロセスからNVA(Non-Value-Added)プロセスを取り除いて、ソフトウェアをシンプルにしましょう」とか、彼らにとっては開発も保守も売上が下がるということになりますので、会社として提案することはありませんし、エンジニアはそもそも業務要件に主体性は持ち得ません。もはやそれを提案するための知識もスキルもないでしょう。

発注側の会社にとってみれば、システムは自分たちの仕事でないし、それが非競争領域であろうとNVAプロセスをやまほど抱えた業務(一般的には業務プロセスの8割はNVAだと言われている)であろうとも、お金を払ってシステム化してしまえば、今までの業務の代わりに「確認と承認」という名の新しいNVA業務が待っているだけで、非競争領域か競争領域か以前にそもそもNVAソフトウェアにリソースをつぎ込んでいるという問題意識も生まれようがないでしょう。

つまり、ユーザー部門の言いなりのシステム部門の構造を子会社化で強化しただけのことであり、本来は、データガバナンスを前提にして、ユーザー自身が責任をもって所管する前提でソフトウェア化を行い、自ら保守運用していく構造にシフトしなければいけないのに、それができない原因を作ってしまっているという事です。

本気で10年後も20年後も勝ち残っていたいと思うのであれば、ITエンジニアを自社化して業務設計に対する主体性を育むとともに、SaaSが出ているような非競争領域は全てSaaS化、競争領域を見極めてITリソースを投入し、ソフトウェア化を前提として、NVAをカットした業務の再設計ができるよう、構造的にボトルネックとなっているIT子会社を解散することをお勧めしたい。

#デジタルトランスフォーメーション
#DX

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