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全国学生行動連絡会の結成にあたって


街頭からキャンパスへ

 このたび全国学生行動連絡会の代表となりました、東北大学の檜田と申します。私は、2022年の前半から学生運動に関わるようになりました。そして、いわゆる「ノンセクト」と呼ばれる人々の運動に関わる中で、特に地方にいるということもあってそれぞれの運動をつなげ交流を図ることに力を尽くしてきました。
 2023年度は入管問題、パレスチナでの虐殺などがあって運動が拡大するなかでより多くの学生とつながることができ、首都圏を中心にタテカン運動などが焦点化しました。

 運動の中で、私たちは自分たちの存在を公に発信し、より広範な連帯を求めていく必要を感じるようになりました。学生運動に関して、よく言われることとして「大学のなかでの運動は終わった、けれども社会のなかで学生はいくつもの新たな試みをしている」というものがあります。しかし、私はそういう言説に対しては真っ向から異を唱えたいと思います。なぜなら、そうした運動はすでに社会問題などに興味をもっている人を動かしこそすれ、なんら社会問題に興味をもたないような人々を動かすことは極めてまれであるからです。
 私はずっと「新自由主義」というものについて考えてきました。左派のなかで曖昧なまま使われ、中身がないとよく言われる言葉ですが、しかし私たちはこの現象から目を背けることはできません。それは、人々が徹底的に分断され、人々のなかから「社会」という認識の枠組みが消失していく傾向です。たとえば「若者論」などのなかで(私はこうした論の立て方はあまり好きではないのですが)若者がきわめて少人数の「身内」としか交流したがらないことなどが言われます。サークルに入らない、労働組合に入らない、政治に興味をもたない、あるいは地域と交流をもたない。なんにせよ、友人関係だけで社会性が完結すると、人々が社会のことに興味をもたなくなってしまう。そういうなかで、社会問題を訴えることは(過去の運動を引き継ぐことがきわめて重要である一方で)ある種空虚であることは否定できないと思います。したがって、こうした人々の意識を変え、社会問題を当たり前のこととして語る空間を作るところから運動を展開していきたいと考えます。

 それはすなわち、キャンパスで立て看板を立て、ビラを貼り、学生団体を作ることです。そして、そういう活動に集った仲間とともに、同じ構造から生じる社会問題との広範な連帯を作っていくことを目指します。

以下で、私が仲間とともに目指す運動のあり方について解説します。

学生行動連絡会の自己規定について

 学生行動連絡会を結成するにあたっておこなった結成大会で、私たちは以下のように組織を規定することを採択しました。

 私たちは学問の自由と学生自治を守るために行動する学生が相互に連絡・支援するための共闘の枠組みである。学生の活動の制限や経済的負担、大学に強いられる改革についての取り組みを基本とし、同じ構造から生じる社会の諸問題の解決にも取り組む。
 未来への責任を果たさんとする立場から、平和と民主主義を求め、戦争の危機や差別、現代社会における様々な抑圧や搾取と対峙し抵抗する。学問の自由や大学の自治を奪還し、学生の利益を擁護しすべての学生・青年の権利向上に努める。

運営の方針について

①有機的な連帯を確立する
大学で行動していくことでの限界として次のようなものが挙げられる
・一から運動を作ることの難しさ
・大学で運動の知見が失われているので当局対応ができないこと
・(国大法問題・廃寮化問題などで)全国的な抗議運動・要求運動ができないこと
・既存の社会運動との連携や距離のとりかたの難しさ
・財政的基盤がないことによる活動の不安定性
 したがって、全国の連絡網と支援体制を整備することでこれらの問題を解消し、草の根の運動を全国的な運動として方向づけることができるようにする。また、統一行動などをおこなうことで全国的な注目を獲得し、運動の拡大を勝ち取る。

②古典的な組織運営によって継承可能性を模索していく
 2010年代の学生運動の傾向として、若者を中心とした多くの運動団体が数年で消滅している。それぞれの運動は大いに意義があるものであったが、運動の継承がおこなわれなかった。私たちはマルチイシューのオーソドックスな組織形態で、今後出現する多様で革新的な運動を支える基盤となり、長く組織を継続させることを目指す。
 運動の継承性を重視する考えから、大学を拠点とする運動を基本単位とする。各地の大学での運動を支援し、相互の協力体制を作ることを最大の目的とする。ブロック会議を組織運動の基本とし、そこで個別の運動の連携と支援をおこなっていく。ただし、個別の運動の行動委員会のみに所属し報告をあげるだけという方法でも参加できる。
 中央本部では定期的な会議を招集するとともに、全国的なことに取り組み広く発信することを目指す。情勢に対応した見解について議論し見解を発表することのできる場として中央本部の実体的な活動をつくっていく。

③現場主義を貫き、民主的な運営をおこなう
 
私たちは組織を必要とするという考えに立っているが、しかしそれは決して統一した考えのもとで運動するように中央が指導するという形態であってはいけない。私たちはあくまで大衆団体として、参加する個々人の問題意識をすくいあげ、それを運動へと形成していくボトムアップの組織をめざす。そのような運動によってこそ、全国的な運動の拡大を勝ち取ることができるものと確信する。

④裾野の広い運動を目指す
 私たちは学生運動を展開する組織であるが、同世代のものを中心に思想や芸術のムーブメントともつながり、大学のコミュニティや学生文化に根ざした裾野の広い運動のあり方を模索していく。そのような関係性は運動の飛躍の土台となるだけでなく、社会を構成する人々の認識の枠組みすら根底から変えていくような、きわめて大きな変革の力を秘めるものである。
 また、国際連帯局を設置し、各国の運動の紹介やさまざまな組織と連携していくことを目指す。学生運動を直接やる気はなくても、語学や海外情報に秀でている学生(もちろん留学生含む)は積極的に連絡していただきたい。

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