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クライアントの某企業の人事部長・・・

 クライアントの某企業(サービス産業)の人事部長さんが、「今年の新卒採用はとにかく厳しい」と深くため息をついていらっしゃいます。殊に、高卒生の採用では奪い合いの様相を呈しているそうです。

 厚生労働省によれば、2024年3月に高校を卒業する生徒の求人倍率は3.52倍。前年同期比で0.5ポイントの上昇となっています。コロナ前の2019年の同期では2.37倍でしたから、売り手市場が加速している様子が伺えます。

 他方、2024年3月卒業見込みの大学・大学院生対象の求人倍率は1.71倍。こちらも前年度より0.13ポイント上昇していて、コロナ前の水準にほぼ近づきつつあるようです。

 要因として、従業員300人未満の中小企業で採用意欲が回復していることや、建設業、流通業での求人倍率の上昇が大きく寄与していることなどが指摘されています(リクルートワークス研究所調べ)。

いい人を採用するには・・・

 某企業は業界の中堅企業。こうした局面にあって、来年度から、採用のあり方を大きく見直すことになりました。

 全社を挙げて採用活動に取り組むため、活動の権限と責任を全国6つのエリアに委譲して、人事部はその支援に回る体制とするものです。エリアごとの特色を活かして営業展開を進めてきた同社だからこその戦略転換で、これにより今まで以上にきめの細かいサービス品質の向上が目指されています。

 この戦略転換は、採用人物像(ペルソナ)採用メッセージ言語化することから始まります。

採用したい人はどんな人?

 まずは、経営理念行動指針を基に、エリアの採用環境を見回しながら、ペルソナを特定します(採用人物像の特定)。求める人材の要件を書き出し、ある程度カテゴライズした上で優先順位付けをし、これらを統合して採用したい人物像として描き上げます。
 
 次いで、今までエリアの強みだと思っていたことがどうして強みと云えるのかを、SWOT分析表を使いながら、改めてメンバーが頭を寄せ合い考え抜いて、採用メッセージを書き起こします。メッセージ内容がしっかり固まりさえすれば、採用の際のトークフローを書き上げたり、採用ツールを制作したりすることができるようになります。

 最後に、具体的なアクションプランの検討。ここではカスタマーマージャーニーマップを用い、ペルソナにアプローチするための最適解を探ります。新卒採用であれば、企業には、ナビ媒体、採用イベント、インターンシップ、セミナー、会社説明会、面接(1次・2次・最終)、内定、内定者フォロー、内定式など、入社までに候補者との数々の接点(タッチポイント)があり、これらタッチポイントにおけるペルソナの感情や行動を想像しながら、最適なタッチポイント適切なタイミングを見極めるのです。

「採用」をプロセス思考で分析する

 因みに、カスタマージャーニーマップを活用して、プロセス全体を見渡しながらタッチポイントごとの採用ツールの制作に当たれば、各ツールの統一感や連携が図られて、候補者へのメッセージ性の向上も期待できます。

 Note#7で知的資産を明らかにするためのツールとしてご紹介したSWOT分析表カスタマージャーニーマップですが、このように採用戦略の見直しにも有用です。


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