やさしい季節
梅雨。
湿度が高く、髪の毛がうねる時期…
湿度の高さは、くせ毛の私には大敵だがそれ以外は特に気にならない。
梅雨の時期が割と好きだ。
梅の実がなるこの時期は、祖父母が大切にしていた梅の木から梅を取り、梅のジュースと梅酒をつくる。
紫陽花が咲くから、紫陽花を観に公園を子どもと回る。モコモコした紫陽花を娘は好む。
田畑が潤おう。土が柔らかくなり、草むしりがしやすいし、新じゃがも掘り起こしやすい。
雨宿りに木陰に潜り込むと、木の葉が雨から守ってくれている事に気づく。
そんな時、心から自然に感謝したくなるし、木下から聞こえる雨音は優しい。
雷には十分に注意を払わなくてならないが…。
雨が降ると何故か道路が渋滞する。速度を落としていたり、普段車を使わない人が使うからだろう。
ノロノロと走る車に乗っていると、このまま時間が止まってくれるような錯覚になる。その現実とは別の空間に誘われるような瞬間もなんとなく好きだ。
梅雨が好きと言うと「えー晴れの方がいいじゃん」
と言われそうであまり積極的に言った事はない。
晴れも好きだが、それが長い期間続くと少し不安になる。
ピカッ、ピカッと日々照らされるより、重く雲が厚いほうが安心するのは私だけだろうか。
ただし、豪雨は恐ろしい。
人間の無力さと自然の脅威を改めて感じる。
分厚い雲が色んなものを運んできて怒り狂って強烈に水を落としていく。何もかも飲み込もうとしているみたいだ。
しかし、雨は命の源であると私は思う。
怒り狂う雨も土を潤おす雨も何かを伝えてくれている。
梅雨が明けると少し寂しい。
ちゃんと明けていくから少し寂しいのだろう。
全く、私は勝手だと思う。
雨の季節は不具合から教えられるものが多い。
だから、なんとなく、少しだけ、優しくなれる。
そんな気がする。
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