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【超短編小説】 ある小説家の話


小生はただの凡人であった。

物書きになろうと志し、早15年が過ぎた頃か。

作品を書こうにも、直ぐには浮かばないもので仕方がない程、頭を使うのである。

同期に言わせれば「そんなものはスルリと書けてしまう」とのことであったが、

どのようにすれば、この難題に向き合えるのか猫の手も借りたい所であった。

難解な問題を解こうにも、思考停止の頭では回るものも回るまい。

考えようにも発想が浮かぶどころか、沼にはまってしまう。

部屋に四六時中居たが、下駄に履き替え、空気でも吸ってみる。

歩けども歩けども、大人はせっせと働き、子供達は学び舎で輪唱する始末。

こんな真っ昼間に道草をする小生の方が変である。

隣家に住む者に後ろ指を指され、謂れもないことをあれやこれやと言われる前に書斎へと戻ることにした。

とりあえず筆を握っては「こんな話でも書いてみるか」と書いてみた。

タイトルは何が良いだろう。

ひとまず「ある小説家の話」としておく(完)