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算数科授業づくり~「あまりのある割り算」知らないが前提ではもう授業はつくれない?~

「あまりのある割り算」が3年生の学習であります。

 本来ならばここで初めて「あまり」というものが出てきます。その時間の様子を書いてみます。

 教科書に掲載されている挿絵は

・いくつかの飴玉をもった女性が何人かの子どもに「3個ずつ」飴玉を配る様子

が描かれています。

このような挿絵がある際の授業は

「何が見える?」

という問いかけからだいたい授業はスタートします。

「女の人が雨を配っています。」

「3個ずつって文字が書いてあります。」

「飴玉をもっています!!」

子どもたちの意見がどんどん出てきます。そこで

何個飴があったらいいの?

と問いかける私。

「3個」

「9個」

「12個」

「13個」

「27個」

「36個」

「50個」

とどんどん出てきます。

計算しやすいものはどれ?

と問いかけ、計算を進めることに。

3÷3=1

9÷3=3

・・・・

3の段の九九で割り切れるものが掲載されていきます。

13÷3になったところである子に答えがどうなるか尋ねました。


われません!!


という答えをちょっぴり期待していた私。しかしその子はつまることなく


4あまり1です!!


と。今日の授業終了です(笑)。一瞬です・・・。周りの子たちも


そうそう!!

同じ!!


と反応。チーンです・・・10年くらい前の私なら(笑)。でも教員はじめて20年に迫ろうとしています。


「あまる」ってどういうこと?


と問い返しました。顔を見合わせる子どもたち。(よし、今日も授業ができそうだ!!)と内心ガッツポーズ。黒板に「あまる」とはどういうことか考えようと書き加えました。


 子どもたちの知識が一様であるなんてことは、子どもたちが教科書通りに新しいものに出会っていくなんてことは、なかなかありません。

「知らない」発想ではもう授業をつくることができなくなってきています(と私は思うのです)

 この日の授業も「あまりが出る割り算を計算しよう」というつもりで、子どもたちが初めて「あまり」と出会うことを想定していたら、最初の子の発現と周りの子の反応でチーンです(笑)。

 子どもたちはとても知的な存在です。知っていることをなぞるような授業ではいけないと思うのです。

 今回は「あまる」という現象を図や絵で表してみることにしました。線分図で考えていく子、〇を13個かいて3個ずつ囲んでいく子。図でかいてみると

  • どのような流れであまりがわかっていくのか

  • あまりはどこの部分か

が非常にわかりやすくなります。

 

「あまる」とはどういうことかと問われて最初は互いに顔を見合わせていた子どもたちも、最後には全員が図や絵を使いながら自分の考え、共有化した考えを述べていました。


 授業後のふり返りを見てみると

  • 「あまり」について自分で具体例を考え説明しているもの

  • 「あまり」を「これ以上わけられないところ」と言い換えているもの

等、子どもたちの理解度の高さがうかがえました。


 教科書は本当によくできた教材です。いつどこでどのような内容を子どもたちが学ぶのか体系的に整理されています。しかし、特に知識面に関してはこの情報化のご時世、既に家庭や塾、通信教育等で学習している子もいます。一方で初めて知る子もいます。

「知らない」発想で授業を作るのではなく「知っている」ことの中身を考えたり、さらに追究する、そのような発想で授業づくりを進めていきたいと考えています。


 最後までお読みいただきありがとうございました。

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