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キタダ授業記録集 2



「かなしみをかかえる人のための短歌」の授業。

子どもたちがいつもの授業とはすこしちがう目をしてた、気がした。

最初にこんな話をした・・・、

「文学ってなに? って娘に聞かれたお母さんが」
(まず、これはすごい母子の会話だよ)

「娘にこう答えた、
『文学というのは、ふだんは人に言えないことを書くものなのよ』」

人はみな悲しみの器。という一首もある。岡野弘彦さんのだ。

人はみな悲しみの器。・・・

悲しみをすっかり空っぽにはできないけれど、そういう歌を心静かに読むことで、
すこしだけでも他人の心と自分の心とで、
かなしみの「シェア」ができたのならよかったとおもう。

こみあげる悲しみあれば屋上に幾度も海を確かめに行く   道浦母都子

風中に待つとき樹より淋しくて蓑虫にでもなつてしまはう   小島ゆかり

大といふ字を百あまり
砂に書き
死ぬことをやめて帰り来れり   石川啄木

たとえばそんな歌をみんなでゆっくり声に出して、読んだ。

そのあと少しだけこんな歌も。

あんなにも叱ってくれたのにきょうは声さえかけてくれなかったね

凍えつつ熱き缶コーヒーすすりうつむいていた夜明け、が資(もとで)

それってもしかして先生の歌?
と聞かれて、そうだよ。と答えたが、
子どもたちは純粋に一首として読んでくれたのがうれしく、
すこしでも「シェア」できて楽になれる子がいたらいいなとおもう。




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