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ブレッド&バターで部屋が湘南に・・・


 今年はブレッド&バター、デビュー55周年。
数少ない兄弟デュオである。ブレバタはメッセージ性のある歌というより、雰囲気やセンスという感じの歌というイメージがある。そして、ティーンエイジャーでは理解できない大人の恋か。
大切なグループである。10年前のエッセイ。
2024年2月

55周年!


 ゆず、コブクロ、ケミストリー。ポルノグラフィティーとB’zは男性デュオって感じではないね。「ユニット」って呼び名が今風か。そう、今回は男性デュオの話。
70年代~80年代にかけて男性デュオは少なからず存在した。要は男性2人でコーラスワークができるグループということ。
・オフコース・・・最初は3人でスタートしたが、小田と鈴木のコーラスは高度であり、緻密であったがセールスには結びつかず、結局、時代の流れでバンドにしてようやく売れた。
・グレープ・・・さだまさしがソロになる前に組んだデュオ。「風」と並んでセールス的に成功した。
・バンバン・・・もともとは4人で活動していたが、デュオになり「『いちご白書』をもういちど」をヒットさせた。「縁切寺」もヒットしたが両作品とも他人のペンによるもの(「『いちご白書』をもういちど」は荒井由実、「縁切寺」はさだまさし)。ワンヒットワンダーの典型。
・風・・・正やんのシティポップなセンスと大久保さんのフォーキーな感じがよくブレンドされていたが、いつの間にかいなくなっちゃった。ヒット曲多し。
・ふきのとう・・・山木のコーラスは3度上の音をオクターブ下にしてハーモニーをつける独特のコーラスワーク。
・チャゲ&飛鳥・・・薬物で問題になった飛鳥。歌のセンスはあるのに、「SAY YES」って言ってパクられた。
・雅夢・・・愛はかげろう・・・この人たちもかげろうになった?
・H2O・・・大人の階段を上ったら何処に行っちゃったんだろう、この人たち。
ということで、みんないなくなった。
 だがしかぁ~し!
ひとつ重要な男性デュオを忘れてはいないか!
そう、ブレッド&バター・・・岩沢兄弟だ(堂本兄弟ではないぞ)。
1969年のデビューから2014年までに41枚のシングルと24枚のオリジナルアルバムを発表。スティービー・ワンダーから作品の提供を受け、日本の有数なミュージシャン達と交流があり、今なお現役のデュオである。
ま、現役で言えば「ビリーバンバン」という菅原兄弟もいるが、今回は岩沢兄弟!

ちなみに「ビリーバンバン」ってもともと3人組みだったけど、途中で1人脱退したわけ。その人ってパーカッション担当だったせんだみつおだったのだ。ナハナハ。

さてと・・・。
メインボーカルの岩沢幸矢の声はハスキーである。若いときからこの声は変わらず、このハスキーボイスから奏でる音ことがブレバタの音である。ちなみに岩沢幸矢は今年71歳。先日彼の歌を聴く機会があったが、30年前に聴いた時と変わらない歌声であった。そして、弟の岩沢二弓もいつも兄を支えながらブレバタの音楽を作っている。
そして、この2人。神奈川・湘南に根ざした音楽活動ということで、アロハシャツに白いコットンパンツ、日焼けした健康的な肌。ひげを少々伸ばしながら、デッキシューズをつっかけて、もしくは1年中ビーサン・・・要はおしゃれなのだ。
湘南にはこういうチョイ悪オヤジがたくさんいるが、そのアイコンみたいな2人。みんな若大将みたいになりたくて、ギターも弾ければ、歌も歌って、料理もできれば、船もあって、なぜか白いコットンパンツ履いてて・・・そしてきれいな女の子がいっぱいいて・・・なんて。毎日バーベキューしてそうだもんね。ま、ブレバタがそうだといっているわけではないが、そんな雰囲気があるのですよ、湘南系のここら辺の人って。

 ブレバタの音楽だが、湘南系といわれているが実はよく聴き込むと実はアメリカンな音楽をモチーフにしており、それを日本の軽音楽にいち早く取り入れたデュオだった。だから、一応1969年にデビューしてるんだけど、デビュー曲が当時のヒットメーカーだった筒美京平の手による歌謡曲みたいな作品だったから彼らもやる気がなかったみたい。タイトルが「傷だらけの軽井沢」っすよ!湘南がいきなり長野県です、はい。
 2人は当時のアメリカを経験していて、そのことがとても大きく影響していて、日本の音楽がいかに遅れているかを肌で感じたんだと思うよ。
で、世の中は四畳半フォークのブームとなっていくから、もっともっとブレバタの出る幕なんて無くなっていく。そんな時代背景の中、彼らの創作する音楽が受け入れられない状況でも彼らはポップ感が溢れた『IMAGES』(1973)を発表したが、セールスには結びつくはずも無かった。あったりまえ。

 それはそうとして・・・
ブレバタは何故商業的にそんなにヒットしているわけでないのに、45年も一線で音楽活動を続けられたのかということ。
 確かに非常に評価の高い楽曲はいくつもあるが、ミュージシャンズ・ミュージシャンと言う感じで、一般人より玄人受けしているように見えますな。しかし、それだけで長く続けていけるのか?!
それはきっと、彼らが出会うミュージシャンたちが彼らの音を大事にしているのではないかと思いますですよ。
ここまで長いキャリアのミュージシャンって、何で食っていけるかといったら、金銭的な面より精神的な面が重要視されていて、本当に自然体で生きているんだろうなと感じます。
もちろん最低限の収入はそれなりにあるんだろうけど、そういう次元ではない気がする。
充実した音楽生活そのものが生きる糧というか。
そういう人たちにはポジティブな人も集まってくるだろうしね。
 ブレバタの2人を見ていとホントにいろいろなミュージシャンに愛されている感じがするもんな。リスナーも一緒かもしれない。彼らの自由でのびのびとした世界観に共感し、それを支えているファンがいて、シングルヒットというような括りではない作品の認められ方があるのだと思う。
ブレバタの音は波の音がシンクロするし、郷愁のムードを醸し出すことにおいては、岩沢幸矢の声は唯一無二だと思うし。
 私の好みは『IMAGES』のようなポップチューンだが、『Late Late Summer』(1979)という傑作アルバムははずせないでしょうな。ティン・パン・アレーやYMO、パラシュートらゲストを迎え、華やかな湘南風シティ・ポップスを聴くことができるよ。
マジで部屋の中が湘南になる。


2014年11月10日
花形

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