Web小説発掘記 その258 不知火の殺人 作者 渡橋銀杏様

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前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。

あらすじ

渡橋銀杏は元禄大学に通う大学生。大学卒業後の進路に迷う中で、ゼミの教授である前島理玖から言われて火野博士の主催するパーティーに出席することになった。化学界の大物が一堂に会する中、主催者である火野博士が遺体となって発見された。さらに、海上では不知火が発生し、唯一の道である吊り橋も落とされており、警察の到着も遅れる。混乱する中で、銀杏に一本の電話がかかってきた。
「こちらは小伏探偵事務所の小伏凪沙です」
電話先にいる彼女は、そう名乗り事件の状況を聞かせてくれたら事件を解決してくれると言った。銀杏は彼女の指示に従い、捜査を開始するが続いて第二、第三の殺人が行われる。アリバイトリック、不可解な状況、謎の不知火の存在。果たして、凪沙と銀杏は二人で力を合わせて事件を解決させることができるのか。科学を利用したトリックながら、全ては出題編で説明された事前知識不用の正統派ミステリー!
探偵と、画面の前にいるあなたは同じ状況です。あなたは、この謎を探偵・小伏凪沙よりも先に謎を解き明かせますか?

ストーリーと見所

こいつは……推理小説だ……!!
殺人とか起こるタイプの……!

任せろ、こう見えても筆者は赤川次郎作品を何冊か読んだことがある(昔過ぎて覚えてないけど)
しかも金田一少年の事件簿は全巻家にあった気がする(漫画版)
その上で古畑任三郎も好きだ(あれはサスペンス?)

と、なんか色々不安になるかも知れないが取り敢えず読んでみるとしよう。

こちらの作品、主人公の女子大生が変わりものである大学教授の代わりにある屋敷で行われる博士達のパーティに出席する。

そこで不可解なトリックを用いた殺人事件に巻き込まれる……といった感じのお話。
そこに探偵役から電話がかかってきて、その人物に情報を与えつつ主人公が捜査を進めていくような形になっている。

所謂安楽椅子探偵というやつですな。

で、上で書いた通り筆者は所謂推理をするようなミステリー小説を読んだ経験が殆どない。
なのでどうしても基準が漫画とか、そういうのになってしまうことは予めご了承されたし。

個人的には読んでいて違和感を覚えるというか、どうにも馴染めない部分があったりもするのだが、「そも、推理小説とはそういうものだ」といわれれば素直に納得する次第である。

実際は読んだ人達の目で確かめてほしい。

改めてこちらの作品なのだが、『読者に推理をしてもらう』ことに重点を置いているように思える。
あらすじにもそうある通り、作中で開示された情報を統合することで読者にも犯人が推理できるような形となっている。

そういった意味では挑戦ともとれる、ある意味意欲的な小説であり、普段からそういった作品を読み込み、推理を楽しんでいる人にとってはかなり楽しめるようになっているのではないだろうか。

解決編の前にもそういった語りが入るなど、是非挑戦してほしいという心意気が見て取れる。

作品の序盤のテンポよく、引き込まれるような文章。
屋敷内の描写も程よく、これから起こる事件の不気味さも含めてとても雰囲気が出ている文章になっている。

なのだが……。
序盤の終わり辺りから、基本的に説明が多くなってしまう。
読み手に推理をさせる関係上仕方がないのだが、こちらの事件のテーマが薬品とか科学系。

なので科学的なあれ+状況の解説文が多く、台詞もそれらを語る長台詞が多い……。

ということもあってか、読んでいて非常に疲れる。

全体的にかなり『推理をする』ことに比重を置いた小説といえるだろう。
筆者はあまり得意ではない……というかほぼできないが、推理が得意な方がいたら是非挑戦していただきたい。

キャラクター

渡橋銀杏

物語の主人公。
本来なら来るべきだった教授の代わりに舞台にやってきて、事件に巻き込まれる。

探偵の力を借りて謎を解き明かしていく。

小伏凪沙

探偵役。
主人公に電話で指示を出しながら、証拠を集めていく。

ちょっと影は薄め。

総評

評価点

情報が多く、推理をして犯人を当てる意気込みやトリックを暴く心持ちで臨めばかなり楽しめる作品。

文章に関しても些か情報が多いものの、それ以外の部分でいえば読みやすく作品の入り込みやすいものとなっている。

問題点

内容としては推理をするための材料という趣が強い。
他の部分は全体的に簡素で、少しばかり物足りなさがある。

最終評価 53点(Web小説としては充分な良作)

思い切ったトリックを始めとして、挑戦的な内容が目立つ作品。

悲しいことに筆者はあまり推理するのが得意ではないので途中からこんがらがっていたが、そういった作品が好きだったり得意だったりする人には是非お勧めしたい。

もし貴方がミステリー好きから、作者さんとの知恵比べを楽しんでみるのも一興だろう。

所要時間は凡そ1時間ほど。

極めて個人的な感想

いつか推理小説を沢山読んで、自力で推理ができるようになってから同じような作品にリベンジしたいところ。

心の中で推理していた犯人は一応当たっていたが、別にトリックとかそういうのじゃなくて割とメタ的な理由。

正直良し悪しでいうとあまりわからんので、だからこそもっと詳しい人に挑戦して推理バトルをしてもらいたさはある。

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