Web小説発掘記 その234 絶望の箱庭~鳥籠の姫君~ 作者 神崎 ライ様

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前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは『幕間②』までを読んでの感想、レビューとなります。
※甘口記事です。

あらすじ

「動き始めた運命の歯車は誰も止めることはできない。陰と陽が交わり、覚醒の時は訪れた……この世界に残された時間は少ない。さあ、我々の予想を超える結末を見せくれたまえ!」

世界の命運は少年と少女に託された。
彼らに待ち受けるのは希望か絶望か……

ある時を機に闇の力を発現した少年「天ヶ瀬 冬夜(あまがせ とうや)」
記憶を封じられ、謎の空間に幽閉されている少女「メイ」

きっかけは冬夜が六歳の時に起きた「事件」
少年と少女が出会ったことにより、世界の運命は大きく変わることになる……

やがて時は過ぎ、導かれるように再会をする二人
舞台は整えられていく、何者が仕組んだかのように……


同じ時間軸に存在し、決して交わることはなかった二つ世界。
科学が発達した現実世界、魔法が発展した幻想世界。
そして……両世界の狭間に存在すると噂されし場所『箱庭』

少しづつ明らかにされる箱庭の正体と隠された真実。
全てが明かされる時、世界は終焉を迎えるのか……それとも……

少年と少女は創造主(ワイズマン)が描いた未来を変えることができるのか?
世界の命運をかけた物語は動き始めた、誰も予測できない未来へ……

ストーリーと見所

現代(?)と幻想の二つの世界が交わる場所で繰り広げられる、学園バトルファンタジー小説。

主人公は過去にとある世界に迷い込み、一人の女の子と出会ったことがあり、物語中で彼女と再会する。

物語の内容としては割と王道の魔法学園系のファンタジーといったところ。作品の特徴として、特に最序盤は仮のテンポの良さがあげられる。

この辺りが読んでいてかなり上手く作られており、こういった作品の場合は往々にしてどうしても序盤に長めの解説が入ってしまいがちなところを、主人公やその周辺の登場人物に素早くスポットを当てることで読者を物語の中に自然と導くことに成功している。

作品の雰囲気としては所謂なろう系……が流行る二世代ぐらい前のラノベが近いだろうか。主人公の覚醒や、生徒会の面々。謎の多きヒロインと何よりも意味深な学園長など魅力的な要素が沢山詰まった小説となっている。

なので当時のライトノベルに親しんでいた人からすれば何処か懐かしく楽しめるものになっており、現代のライトノベルを読んでいる人はかなり新鮮な気持ちで楽しめることは間違いないだろう。

キャラクター

天ヶ瀬冬夜

物語の主人公。
過去に異世界に迷い込み、そこである女の出会う。

闇の力に目覚め、それを操り戦う。力を振るっているときはかなり強いのだが、所謂無双という形ではなさそうな雰囲気がいい塩梅。

一見するとクールにも見えるが、仲間のためになら全力で身体を張ることができる熱血漢でもある。

メイ

ヒロイン……?
暫定ヒロイン。

物語としてはまだまだ動きはないが、その力の片鱗を見せてくれたりと今後が楽しみなキャラクター。

学園長

意味深なキャラクター。
主人公のことや世界のあれこれなどの深い事情を知っていながら、上手い具合にそれを小出しにして物語を引っ掻き回すトリックスター的な人物。

普段は何処か気の抜けた人物でありながら敵の面々に一目置かれていたりと、かなりの重要人物であることが示唆されており、彼女が出てくる場面は相応に気合の入ったものとなっている。

総評

評価点

こういうのでいい……というか、こういうのがいいを万全にやってくれるライトノベル的な小説。

主人公やヒロインの未知の力への覚醒、一歩どころか数歩先からこちらを見ている意味深なキャラクター達。

そして一緒に戦う一癖も二癖もある仲間達と読者がライトノベルに求めているものが大抵入っている。

また作中を通して強調された言葉や伏線のようなものが非常に多いのも特徴であり、それらを少しずつ読み解いたり、或いは解き明かされるのを楽しみにしながら読んでいく楽しさも持ち合わせている。

問題点

特になし。

総合評価 XX点(甘口は点数なし)

面白い要素だらけの学園ファンタジー小説。

2章の時点ではまだまだ物語にエンジンがかかり始めにも関わらず、これだけ読ませて楽しませる小説はなかなか珍しいところ。

張り巡らされた伏線やストーリー上の様々な謎の答え、何よりも魅力的なキャラクター達が活躍する姿がもっと見たいと素直に思わせてくれる極めて優良な小説。

所要時間は『幕間②』までで凡そ40分ほど。


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