Web小説発掘記 その257 見習いシスター、フランチェスカは今日も自らのために祈る 作者 通りすがりの冒険者様

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前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは『第20話 『Pequeña Francesca』⑤』までを読んでの感想、レビューになります。

あらすじ

高校2年の安藤次郎は不良たちにからまれ、逃げ出した先の教会でフランチェスカに出会う。
スペインからやってきた美少女はなんと、あのフランシスコ・ザビエルを先祖に持つ見習いシスター!?
ゲーマー&ロック好きのものぐさなフランチェスカが巻き起こす笑って泣けて、時にはラブコメあり、時には海外を舞台に大暴れ!

破天荒で型破りだけど人情味あふれる見習いシスターのドタバタコメディー!

ストーリーと見所

シスターと少年が繰り広げる……というとちょっと語弊があるかも知れない。

彼の有名な教科書にも持っているフランシスコ・ザビエルの子孫であるシスターの女の子と、時々現れる主人公(?)の少年が繰り広げるドタバタコメディ小説。

物語は一話ないし短い話で一つ一つのエピソードが完結するような形をとっており、長編が続くというよりは彼等を主役とした幾つもの短編が納められているような感じ。

ライトノベルとまんがタイムきららを足して二で割ったような空気感のお話となっている。

文章はかなりライトノベル的で、軽いものとなっている。それに加えて短いエピソードが連続しているためいいところで話を切りやすく、非常に読みやすい。
文章や設定などの口当たりも軽く、主人公もいい意味で濃くはない。

その代わりにシスターの方には様々な親しみやすい属性が盛られているので、読んでいて物語への入り込みやすさは抜群といっていいだろう。

実際問題この小説、悪い部分を探せといわれても殆ど見当たらない。
文章は読みやすい、話は短く区切ってあって途中で休憩しやすい。

キャラクターの属性は親しみやすく、それに加えて設定もごちゃごちゃしたものがない。

更には物語の内容まで、所謂ちょっとした小話やちょっといい話が連続しているので親しみやすさならば相当なレベル。
内容としてはあらすじにある通り本当に色々。

不良を倒すところから始まり、子供達の世話や病気の子供に勇気を与える話。バンドの手伝いに登場人物達の過去のお話など、多岐に渡る。

基本的には楽しく、痛快なものとなっているが時折ちょっとほろ苦いようなお話もあったりして、バリエーションにも富んでいると最早文句の付け所がないね。
加えて時折社会問題的な部分にも、独自のストーリーを交えてわかりやすく語ってくれたりもする。

まさにこういうのでいいんだよの体現、読者が求めているものを的確にお出ししてくれる小説といっていいだろう。

キャラクター

フランチェスカ

物語のヒロインにして主人公(?)

不良シスターでありながら情に厚く、ゲームとロックが好き。子供にも好かれて勿論容姿は抜群に優れている。
しかも胸も大きいと非の打ち所がないような人物。

物語は彼女を中心として語られていき、その大半は彼女が活躍するものとなっている。
様々な面から見ても読者に好感を抱かれるキャラクターであり、彼女のことが好きになれるのならばこの作品を楽しめることは間違いないだろう。

安藤次郎

一応物語の主人公……?
実際のところフランチェスカ単体の回がそこそこあるので、意外と出番はそうでもない?

とはいえ彼には彼女とのラブコメパートを盛り上げてくれるという大事な役目があるので、決して影が薄いということはない。

総評

評価点

読みやすく入り込みやすい物語に、わかりやすく魅力的なキャラクター。

展開も基本的には王道で、読者が望んだものをしっかりと出してくれる究極親切設計。

全体と通して作者さんの技量や考えの深さが伝わってくる作品であり、日常系やちょっとしたラブコメを求める人になら進められる良作小説。

問題点

わかりやすさ、親しみやすさを重視している以上は仕方がないだろうが、癖がなさ過ぎて物足りなさはある。

良くも悪くも、読んでいるとある程度オチというか流れは予想できてしまい、大半はその通りに進んでいく。
もっともその辺りに関しては、期待通りにしてくれるという利点でもあるので難しいところではあるが。

とはいえこれらは全て20話までを読んでの話。
今後の展開でその評価が覆る可能性は充分にあり得る。

最終評価 57点(Web小説としては充分な良作)

殆ど非の打ちどころのない、全体的に高レベルにまとまった日常系ドタバタコメディ小説。

最初に少し読んでみて、シスターのキャラクターを魅力に感じたらそのまま最後まで読み切ることができるであろう面白さを秘めている。

とにかく読みやすく親しみやすい、万人にお勧めできる良作コメディ小説。
ただ楽しくさせるだけでなく、色々と考えさせられる話やほろ苦いお話が時折入ってくるのも高評価。

所要時間は『第20話 『Pequeña Francesca』⑤』までで凡そ40分ほど。

極めて個人的な感想

いや、読んでいて本当にレベルが高い作品だと思う。
正直、商業で売っててもそれほど違和感がないレベル。

なのだけど、読み進めているとどうしても話の流れがある程度決まっていてしまって、ちょっと平坦さを感じてしまったのもまた事実。

その辺りは作品のコンセプト的にそういうものであるだろうし、読者はそれを望んでいるのだから別に変える必要もないだろう。
単純に好みの問題である。

勿論、それはあくまでも20話までを読んでの話ではあるが。

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