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最近の短歌まとめ 5

3/11~4/11

この人を何としてでも笑わせてみたいと思った これって愛か?

大切にされるってどういうことかわからないまま大人になった

隣人の狂ったような笑い声何がそんなに楽しいですか


絶縁

あの人の「大切」とおれの「大切」は意味が違って伝わらなくて

窓の外眺めてしまうおれたちは同じ言語を話しているのに

あの人の「気をつけてね」を背で受けて罪悪感が刺さって抜けない


ない話しないでほしい。孫の顔見るまで死ねないなら死ねないね

地獄にも色々あって私なら血の池地獄でバタフライする

おもしれー女のままでいたかったあなたを好きになったばかりに

けだものになりたくて牙生やしても結局わたし弱い人間

泣き虫のわたし加湿器くらいには役に立てますそばにいさせて

悲しみと怒りで出来た私です段ボール箱破って捨てる

私ってどうしたらいいですかって一日ずっと天を見ていた

完全に好きになれないけど部分的にだったら好きになれます

一筋の光がマジで眩しくてウゼェからもう電源落とす

換気扇の下ちいさく座ったらイヤホンをして小声で歌う

薄情と母に言われたあの日から薄情者として生きている

君が寝た後の静けさ鼻すする音と拭いきれない死にたさ

精神科 薬じゃなくて愛情を処方してくれ死にそうなんだ

幼少期愛情不足が原因と言われて私手遅れらしい

生傷が絶えない方の腕わざと左を向いて瞼を閉じる

また痩せて直してくれる人も無く半ケツのままお皿を洗う

なんという感情だろう分からない半透明で濁ったような

あんたらは落としたペンを拾うのに何秒かかる俺は五時間

話したい事がたくさんあったのにイチゴジャムの蓋きつく締める

約束がどんどん増えて「簡単に死ねないね」って天使がウザい


その場しのぎ

悪い子にお仕置きをして消毒を大判の絆創膏を貼る

心臓が左の腕に移動したようにズキズキどくどく熱い

スヌーピー汚しちゃったらごめんなさいそれでもぎゅっと抱きしめさせて


壊れても別にいいや初めから壊れているしもっと壊そう

遺しても仕方がないしアルバムの写真と動画消した夕方

こんな雨降っていたんだ精神科着いてイヤホン外して気づく

自らに刃物を向けて咎められ他人(ひと)に向けないだけマシだろう

独占欲湧いたら終わり。草原を裸足で駆けるようなあなただ

もう大人なんだからって病院の先生にまで傷つけられる

本当に小さな嘘も許さない砂糖ひと粒分だとしても

平等に夜は明けるのに私だけ取り残されていま深夜二時

親からのありがた迷惑この体かわいくデコるシルバーキラキラ

真っ黒な生き物を胸に飼っているいつになっても飼いならせない

ピアスって不安や絶望の数に比例している説もあるよな

「似てる」って危ないのかも正反対の部分を知ったときのあの色

人様を殺す度胸もないし成り損ねた自分も殺せなかった

砂浜に描いたハートは本物じゃなくてほんとにただなんとなく

祈るよう指を絡ませてもぼくらひとつになれない 祝福を

環境の変化に追いつけない僕はとにかく僕に傷を刻んだ

現在を大事にしないならきっと今後もおれは繰り返すだろう

ずっととか絶対ねって約束というかまじないみたいなもので

感情のゴミ箱にされ続けるとあふれてしまうあふれてしまう

それはもう取り扱っておりません。癒されたいなら他を当たって

馬鹿野郎。意味なんかないおれたちは踊り続ける馬鹿丸出しで

普通じゃないおれを愛してほしいから本来の姿に戻るだけ

悲しみを悲しみで上書きしては強い悲しみばかりが残る

口癖のように「死にてぇ」と言う人なぜか毎朝さゆを飲んでる

淋しさをぶつけるようにして彼は壁に向かってボールを投げる

満開の桜を見ても死にたいと思ってしまうもう帰らせて

帰り道。全ての帰り道なんでこんなに死にたくなってしまうの

増やしたいピアスとタトゥー我儘を言えば居場所と消えない友達

ちょうどいい明るさ、いい匂いのベッド、刺さりすぎない音楽流す、

君が死ぬ理由に僕はなれないしなんでアイツが理由になんの?

君の手が震えていたから温めるために包んだ温かかった

大切なものがそこにはあるのでしょうきみに巻き付く有刺鉄線

迷惑をかけない自傷/迷惑をかけない程のオーバードーズ。

左うで流れ落ちる血鮮やかでおれも一応人間やってる

「わたしも!」と無邪気に言われ「だよね」って乾いた笑いと共に返す

死にたいと消えたいと失踪したい全部違って全部本当

もう君が誰かとどこで何をしていようがおれに関係がない

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