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暗い短歌

欲しかった居場所をやっと手に入れた
はずだったのに失踪癖が

眠れない午前3時に光る窓
勝手に仲間だと思ってる

愛されてきたのでしょうね根拠のない
自信に満ちたあなた様は

目の届く範囲で君よ幸せにならないでくれ
心が狭い

人生の序盤でコケた時の傷だから
気安く触れないでくれ

おにぎりを箸で食べたら崩壊し
正しい距離がまだ掴めない

おばけでもなんでもいいよ
そばにいてくれなきゃおばけになってしまう

幸せになりたいですと私より
幸せそうな人がこぼした

わけもなく泣きそうな日が誰にでも
あってほしいと願ってしまう

アルバムの中で無邪気に笑う子の
未来がコレで不憫に思う

いつだって俺が一番正しいと
信じ正しいフォームで殴る

お菓子の家の建材は何にするとか
そういう話しだけしたい

悲しみが去ってゆくのをただじっと
待つしかなくて女の体

カブトムシ開けっぱなしのかごの蓋
逃げたかったら逃げてもいいよ

マタニティマークから目を逸らし
リノリウムのシミじっと見つめる

外側がうるせえ 耳に栓をする
内側の方がもっとうるせえ

金玉がデカすぎるハムスター見て
消える程度の憂鬱だった

順調に感受性が枯れてゆき
冬の匂いで泣かなくなった

向けるべき人に向けられない刃
自分に向けて死ぬぞと脅す

今夜なに食べたらいいかスーパーの
店員さんに聞きそうになる

本物の星に見向きもしない人が
プラネタリウムで泣いていた

へらへらとしている人がへらへらと
しながら見せてくれた傷跡

アンガーをマネジメントできるわけ
ねえだろ俺の怒りをなめるな

この後は普通に真っ直ぐ帰ります
両親は普通に嫌いです

重要な場面で逃げる癖は父親に似たのか
戸籍の空欄

エイプリルフールに限らず嘘ばっか
ついてるくせに何を今更

どうせ死ぬのに皿洗う
どうせ死ぬのに歯を磨く どうせ死ぬのに

虚しさは確かにここにあってでも
目に映らない撫でてやれない

踞り日向に座る
この形のまま大きな石になりたい

デフォで死にたいと思っている僕ら
寄る辺もなくて大波小波

ゴールデンウィークに帰省しないの?と
無邪気な人に急に刺される

殺そうと思っていたと呟いた母の横顔
またこの夢か

あの人も必死だったと理解していても
それでも跡は消えない

母の日に憂鬱になる人だけで集まり
花を燃やしませんか

寂しいというよりこれは退屈か
会いたい人が思いつかない

玄関を開けっぱなしで眠る夜
死ぬ時ですら他力本願

この果汁死んでいる気がしませんか
ポッカレモンの裏面を見る

スウィーティーお前正気かこの先も
何度も誤解され続けるぞ

血まみれの何かの死体胸に抱き
彷徨っている避けられている

自殺とは回避可能な悲劇だと
AIは言う ならこれは何

店内で手作りしたと書いてある
弁当うまいおれは寂しい

Age is just a number いつまでも
私の祖母はこどものままだ

繊細で脆い自分を隠すかのように
いかついアクセサリーを

指先が切れたのにまだ血が出ない
意図せずできた傷って痛い

父親と名乗る他人が投げつけた
言葉の温度 鈍色の空

本を読む答え合わせの要領で
あれって虐待だったんだ

マズローのあれで言ったら二段目のおれと
五段目にいるお前だ

オーバーな表現をする母親は
今も昔も寂しい人だ

正論で殴るのをやめない君の
恍惚とした目がキモかった

裏垢をそのまま遺書としますので
関係者各位震えて眠れ

十日前開けたピアスがもう馴染み
結局は私は私のままだ

あほくせー。どうせ死ぬのに千円も
不味いチュロスに払って生きて

MVのコメント欄で自語りが
できるくらいの図太さをくれ

砂浜に書いた落書きそのままに
おれはつまらん日常へ行く

砂浜で棒を拾って自慢して
いるときのおれ悩みなさそう

なんかもう全部どうでもよくなって
傘も他人に譲ってやった

目の前にカラスの糞が落ちてきて
おれは世界に嫌われている

概念としての夏しか愛せないことを忘れて
また夏がくる

耳栓がはまらないから眠れない
受け入れられないことばかりある

遺書なのに愛や感謝を書き連ね
嘘にまみれた人生でした

雨合羽着せられ散歩する犬を
遠目で見てるびしょ濡れの人

止まらない自慢話を聞く時の
「ほぇ〜」は200種類あんねん

私とは違って自殺じゃ終われない
君はひとりになれない人だ

諦めることを覚えて短冊に
書かなくなった願いの数多

他人より自分を傷つけるほうが
コスパがよくてそれだけのこと

泣きながら優しいニュースだけ選ぶ
世界に絶望しないように

死にそうになった話を聞かされて
惜しかったねと言いそうになる

ほとんどの場合言われた側だけが
忘れられずに殺され続ける

勘違いしないでよね生きて苦しんで
ほしくて差し伸べた手だ

生傷が絶えない暮らし
真っ白なシーツの上で眠れずにいる

あっけなく崩れてしまった砂の城
貝殻でデコろうとしたから

人混みを避けまくったら祭りとは無縁の路地で
迷子になった

自分には関係のない花火ってただの騒音
きみも騒音

何もかも濃くなるはずの夏なのに
おれの影だけ薄い気がする

ひぐらしが鳴くからずっと無視してた
寂しさが本気を出してきた

160cmくらいかな
雑草にまで負けてしまった

あなたには関係ないと言われた日
全ての糸が切れた気がする

悪いことしてないけれどおれのこと
無期懲役でぶち込んでくれ

きみのその心配されたくて嘘を
つく癖のこと責めらんないよ

おうちでは「ぷいちゃん」と呼ばれています
そんなに怒鳴らないでください

愛すことも愛されることも諦めた日から
命が軽い

テーブルを本気で蹴った右足が
ずっと痛くてまだ許せない

向けられた相対的な感情に
嫌気がさして屋上にいる

ほとんどが保身のための優しさで
つまりあなたは騙されている

一生をかけても埋まりそうにない
穴を抱えて猫背で歩く

伝わらないことばっかだな私たち
同じ言語で罵り合って

痛すぎて瀕死のティラノサウルスの
ような姿勢で歩く二日目

痛いとき丸まる背中
丸まって眠るあなたも痛むのだろうか

死んだのに飛び降り続ける幽霊の
ように繰り返されるトラウマ

泣かないというより泣けない人生に
なりつつあって汗が流れる

天国が空の向こうにあるとして
飛ばされたがる帽子おさえる

美しくない過去作を消していく
なかったことにできないくせに

コンビニのインスタントの味噌汁が
異常にしみて眼鏡をはずす

あと一歩踏み出すだけで苦痛から最も遠い
ところへ行ける

詩のような遺書を残したそれぞれで
好きに解釈してくれていい

今死んでしまったらこの肉じゃがと
書かれたメモが遺書になるのか

人生が破綻していくさまをただ
傍観している当事者なのに

いつまでも湿気た話が続くから
しなしなになるおにぎりの海苔

おれの鮭だけ骨多くないですか?
気のせいですか?生きにくいです

誇張した途端に嘘っぽくなってしまう
ホントに死にそうなのに

泣かないで聞いてほしい
泣かれたらおれが悪者みたいになるから

私だけ置いてけぼりをくらってる
ような気がする季節の変わり目

心身を切り売りしたらこんなにも軽くなるのか
骨壺を抱く

ぐしゃぐしゃにされてごみじゃん
かけがえのない命じゃなかったのかよ

バカみたい。助詞の些細なニュアンスの違いに
こんな傷ついている

それぞれに生活があるからおれは
大丈夫って言うしかないよ

歯磨き粉ぶんぶん振ってしぼり出す
みたいにおれが空っぽになる

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