『日本画の棲み家』 泉屋博古館 東京
泉屋博古館東京の最寄り駅は六本木一丁目ですが、乗り換えの関係で神谷町から訪問。前回は7月で酷暑の中しんどかったのですが、今回は美術館までの道のりも快適。都心のど真ん中に、緑生い茂る遊歩道があるのが新鮮。
で本展覧会ですが住友家のコレクションのセンスの良さと、木島櫻谷の魅力、そして泉屋博古館の《独り占めできる》良さを感じた贅沢な時間を過ごせました。
前日にこちらのポッドキャストを聴いて伺ったのですが、正に今回の展覧会に繋がる内容でオススメです。館長・野地さんの話しが分かりやすくて超絶面白いです。
作品が大型化した《展覧会芸術》でなく、本来の日本画の魅力である《床の間芸術》としての掛軸や屏風の魅力に焦点を合わせているのですが、住友家(主に15代春翠)のコレクションである近代日本画、特に大坂画壇の素晴らしさを令和の現代に伝えてくれる内容でした。
中でも一番感動したのは木島櫻谷の『震威八荒図』。かなり大きな衝立なのですが描かれているタカの凛々しさといったら!
賢そうな老練な眼光と威厳をまとった表情に、思わず心の声で「かっけー!」と呟きました。因みに衝立の裏にはタカの眼光に気づいて飛び立つスズメたちが描かれているらしい。衝立なのでガラスの中でなく、会場の真ん中で観てみたかった。
メインの場所には同じく櫻谷の『雪中梅花』が燦然と展示。雪を被った梅の木に被った雪が今にもこぼれ落ちてきそうな美しさ。
ふと、いま自分は来賓として住友家の邸宅に招かれて観ている、という妄想に切り替えてみたのですが、より自分事として体感でき記憶に刻みこまれる感じがしました。(ちょっと妄想すぎますが…)
※こちらで作品の画像が確認できます。
ロビーには住友春翠の人生と作品購入履歴が年表として掲示されてました。
華族から養嗣子として住友家に入りトップとして事業経営をしながら貴族院議員として政治にも携わり、芸術にも多大なる関心を持ち作家を支える。
普通の一般人からしたら、そんなんどうやって、できるん?です。63歳で亡くなられてますが晩年にかけて購入作品が増えていったのを見ると経営や政治から少し離れた時期から本来の自分の関心領域である芸術により注力された感じなのでしょうか。
もし更に長寿であったなら、その影響力で日本画の歴史も変わっていたかもと感じてしまいました。
そして購入作品の中に上島鳳山の『十二ヶ月美人』が!
「大阪の日本画」(東京ステーションギャラリー)に展示されていた『緑陰美人遊興ノ之図』で鳳山を初めて知ったのですが、当時は竹内栖鳳と同じ位人気があったようなので、ぜひ泉屋博古館東京で特別展をやってほしいです。
最後に改めて。
こちらの泉屋博古館東京は、
《独り占めできる美術館》
きっと贅沢な時を感じられると思います。
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