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首下女装

直子を身体に宿してから、早二週間。

俺の精神を崩壊させた特級呪物の黒パンティは、使い込みが激しかったせいで摩耗してしまい、何故か前後に穴が空いてしまっていた。
これ以上こすったり指を入れて使用したら、大きく破れそうになってしまった為、俺は黒パンティを額縁に入れ飾ることにした。

だが、しかし…
秘密の儀式の虜になってしまった俺の身体は、身に付けずに見てるだけという屈辱を許すことが出来ない。

俺は儀式継続の一手を打たなければならなくなった。

「仕方ない…」

時刻はPM11:00。

俺は近所の大型ディスカウントストアに向かった。
スーパーも併設している為、普段は食料を買いに来るのが常なのだが、今宵の目的は…

「行くか…」

自動ドアを抜け、一直線に衣料品コーナーに向う。
さすがにこの時間は人も少ない。

辺りを見回す。
とりあえず誰もいない。

「ふぅ…」

今まで足を踏み入れたことのない場所。
男子禁制の魅惑の陳列棚に掛かった色とりどりのエッチな装飾布。

俺はこの女性用下着コーナーの中央に立ち、罪深い想いに酔いしれながら物色を始めた。

「こ、こ、こんなの…履くんだぁ…」

単なる下着の分際で、とんでもなく可愛かったりセクシーだったり、すんごい小さいサイズだけど広げて履いたらピチピチでエッチな感じに見えるようなやつだったり…

「あぁ…うぅ〜…す…すごい…」

俺は一つ一つの下着を吟味し、その細かい刺繍やデザインに見惚れた。
男物の下着にはない、細かなオシャレ装飾は今からそれを身に着けようとしている人間の心を踊らせる。

「ちっちゃいリボン付いてる…」

ヤバい…
俺、今までの人生でリボンなんか身につけたことないのに…
リボンはキティちゃんとミニーちゃんと、それを愛するものにしか装着が許されないアイテムだと思っていたのに、俺がそのリボン🎀を身に付けていいのか…

「ふぅ〜…むふぅ〜ー……んぅ~~…」

確実に興奮してきた。
もう止まらない。
今まで男として抑えていた欲望の壁が崩壊し、堰を切ったように好奇心が溢れ出す。
俺はブラジャーやパンティを食い入るように貪りだした。

女達は産まれながらに、こんなハレンチな下着を生涯身につけ続けるというのか…
そんな事が許されていいのだろうか?!
羨ましい、羨まし過ぎる。

出来ればココにある商品を全部ウチに持って帰りたいが、そうはいかない。

離れた所で品出ししている店員や、買い物客のオバサンなどもウロウロしているが、もうそんなの気にならない。

こちとら一世一代の人生の根幹を揺るがす大買物なんだ。
人目なんか気にしちゃいられない。

自分に合うサイズの下着をゆっくりと探し、できるだけエロいデザインの物を手にとってみた。

「よし…これにしよう…」

割と高級感のある黒いTバックと、サイズの一番デカい黒っぽいセクシーブラジャーを手に取り一旦はその場を離れた。

「よし、次は…」

こうなれば勢いは止まらない。
俺は女性物の衣装のコーナーに場所を移し、自分の好みの衣類を物色し始めた。

先程の下着コーナーよりも、幾分か気持ちは落ち着き、実に冷静に服を選んでいる自分に驚く。
周りから見れば、男がブラとTバックを持ちながらミニスカートなどを念入りにチェックしている姿は変態そのものだろうが、本人はいたって真剣である。

俺はかなり短めの黒いミニスカートとニーハイソックス、薄手のピタッとした白い半袖シャツを選び、急いでレジへと向かった。

無人のセルフレジが変態に安心感を与えてくれる。
いつも食品を購入している時と、同じように何食わぬ顔でバーコードを読みとらせ、淡々とマイバックに商品を入れていく。
ポイントカードを挿入し現金で精算をする。

出口の自動ドアを開けると、機械音で「ありがとうございました」と音声が鳴る。

「こちらこそ…」
と、心でつぶやき高揚感を抑えながら家路を急いだ。

ウキウキとワクワクが止まらない。

………………………………………………………………………………

家に着いた俺は、バックから宝物を取り出すかのように衣類をベットに並べる。

「やった…やったぞ!」

俺はついにレベルアップするためのアイテムを手に入れた。
なんとも感慨深い思いである。

俺は慎重にハサミで値札とサイズのタグを切り離し、自分の衣服を脱ぎ捨て全裸になった。

「始めよう、進化した儀式を…」

まずは、新品のTバックから装着する。

「お〜…これ…気持ちいい…」
一瞬にしてエロい気分になる食い込み具合。
前部からハミ出そうになる肉の塊。
これ最高…

次にブラジャー。

「ん?…あれ?」
肩紐を通すが、後ろのホックに手が回らない。

「あ、そうか」
直子がブラを付ける時にしていた手順を思い出す。
まずは、胸側でホックを付けてブラごと後ろに回すんだ。

「よしよし、いい感じ」
思いのほかサイズもピッタリで着心地が良い。素材もツルツルして肌触りも良くフィット感も申し分ない。
初めてのブラ選びは大成功だ。

「スカートは…」
横のファスナーを開け、足を通し腰まで持ってくる。
少し腹周りが窮屈だが、何とかなった。

「上は白シャツ…」
女子が夏場によく着ていそうなピタッとしたシャツ。
ブラの膨らみが見事に強調され、身体のラインが丸出しだ。

最後にニーハイソックスを履いて、姿鏡の前に立ってみる。

「あぁ…ヤバいこれ…」

首から下の身体を映した鏡の中の自分の姿は、なんともイヤらしく唆るビジュアルをしていた。

胸は大きめサイズのブラジャーで膨らみ、ミニスカートの裾からはパンティが見えかかっている。
後ろ向きになり腰を屈めれば、お尻が丸見えになるほどスケベさ満載だ。

「すごい…スゴイぞ!」

俺は自分のチョイスに感動し、気がつけば股間を強く握りしめていた。
徐々に硬くなる俺自身。

まず俺は額に入れた神パンティに手を合わせ、今までの感謝を告げた後、行為に勤しんだ。

幸いにも、自分はユダヤ教信者ではないので偶像崇拝を禁じられていないのが救いである。

女性の服を着た自分の身体を見ながら欲情する俺。
わざと卑猥なポーズで興奮を呼び起こし、見てみたいアングルや距離感を模索しながら気持ちを高める。

「いい…すごく良いよ…」

俺は鏡の中の自分と同化し、性別の向こう側に思いを巡らせた。

「あ…ダメ…そんなこと…」

理想のシチュエーションを思い浮かべ、自慰行為に没頭する。

何度も何度も絶頂寸前で止め、クイック&スローを繰り返す。

「気持ちいい…」

神がかった選択をした買い物の恩恵を受けながら、はち切れそうなイチモツを愛で慰める。

しかし、あの時初めて神パンティを手にした時のような衝撃は、もう二度と感じることは出来ない。
洗濯槽から取り出し顔に擦り付けた時の服従にも似た歓喜、恐る恐る脚を通した時の不埒な幸福感。
思考回路が錯覚と錯綜を起こし、身体の芯から溶けそうになるほどの快楽が脳内を駆け巡った、あの瞬間に代わるものを、俺はこの先ずっと追い求めていくのかも知れない。

それを人が変態とか、不審者なんて言おうが俺にはもはや関係ない。

罪深い業を背負い、己の内側を探求してこそ悟りの境地へ辿り着く。

それは神か仏か厩(まやかし)か…
いずれも人間離れした存在に憧れるからこそ、人はその先を追い求め行く。

その先へ。。





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