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整形疑惑

唐突に母が言った。

「アンタ、整形した?」

「はっ????」

あまりに突拍子もないことを聞くもんだから、

思わず笑ってしまった。

母は薄笑いを浮かべながらこう続けた。

「いやーだって、アンタそんなに鼻高かったっけ?」

母は自分の鼻が低いことにコンプレックスがあり、
「もうちょっと可愛く生まれていれば…。」だとか
「もうちょっと筋が通った鼻だったら…。」とか
よく言っていた。

一方、父は立派な鼻筋の通った高い鼻をしており、
姉などはそのスッとしたその父方の鼻を受け継いでいるが、
私は幼い頃は鼻ぺちゃで見るからに母の鼻、
家族からは小堺一機とあだ名で呼ばれていた。
(当時はラビット関根とふたりで黒子をやってた時代)

だから私の鼻は低いものと母の中ではイメージが定着していたらしい。
私は海外に暮らしているので、実家に帰るのは年に一度程度。
里帰りして、久しぶりに私を見た母が、なんか昔に比べると私の鼻ずいぶんと高くなった気がしたようで
そんなぶっ飛んだトンチンカンな質問が飛び出したらしかった。

母は整形警察だ。
一緒にテレビを見ていると、「あ、この女優さん整形したわ。ほら!」
「このひとも整形したね、前と顔が全然違うもの!」と
「整形しなくてもきれいだったのにねぇ」など
意気揚々とあたかも何か自分だけが見つけたすごいもの、
鬼の首とったみたいな勢いで人の整形疑惑を話してくる。

でも、私は鼻の整形はしていないので、母の整形警察のセンサーはあまり感度がよくないことは明白である。


だけど、母のかつら警察センサーはとても優秀。
テレビに映る俳優や有名人を見ては
「あぁ、このひとカツラね」から、「はいはい!カツラ!確定!」
「この人、植えたわ」まで被りものから植えたものまで
カバー範囲が半端ない。
よくよく見ると、あぁそうかも・・・という気がしてきて
私はカツラに関しては全然見抜けないので、この母のカツラセンサーには驚きと同時にすごいなぁと関心してしまう。
普段、「すっかり目が悪くなったわ〜」とか言ってるわりに
カツラを見抜く能力はすごい。
別に整形もカツラも本人がそれで幸せなら、それはそれで良いし
今は植毛するのも整形するのも気軽にする普通のこと。
美しくありたいと思い努力すること、その美を追求して実現できる整形の技術も高まり、それを受けられるお金もあるなら全然いいと思う。
自分に自信を持てるって素晴らしいことだから。

小さい頃は鼻ぺちゃだったのに、今は父の鼻寄りになった私の鼻は
成長する過程で自然にそうなったものだと思っていた。

だけど、母のこの間違った「私が鼻を整形した疑惑」の話をトンチンカンな笑い話として姉に話したら、
姉からはさらに衝撃の一言が飛び出したのだ。

「らにちゃん(私)は、自分でその鼻高くしたよね?小学生くらいの頃に
よく、この低い鼻が嫌だって言って自分で洗濯バサミで鼻つまんで直してたしょ。」と。

ちょ、ちょ、ちょっ〜と待った。
あなたの知らない世界、世にも奇妙な物語くらいのレベルで
まったく記憶にない。
パラレルワールド?
姉は適当人間なのでもしかしたら姉の作り話かもしれないが。

とにもかくにも、現在の私の鼻はまぁまぁこれでいいかなと自分で思える
愛おしき鼻である。




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