見出し画像

人生で初めて地団駄を踏んだ日

「地団駄を踏む」という言葉は知っていても、
私はこれまでの人生で地団駄を踏んだ記憶は一度もなかったのだけど
先日地団駄を踏むことになった。

地団駄、踏んだことはありますか?

地団駄を踏む
読み方:じだんだをふむ
別表記:地団駄踏む

怒りや悔しさなどの感情の昂りから、地面を激しく踏む動作をすること。地団駄踏む。「地踏鞴を踏む」(じたたらを踏む)が転訛したものとも言われる。

weblio辞書

私は仕事中に前日に買ったケーキのことを考えていた。
帰ったら、あのいちごのショートケーキを夕方のおやつタイムに食べようと。
頭の中はいちごのショートケーキのことでいっぱい。

私が暮らしているところでは、日本のケーキが買えるのは2箇所のみ。
それも買えるようになったのはここ数年のことで
暮らし始めた頃は日本のケーキなんてどこに行っても買えなかった。
買えるケーキといえば、甘すぎるどっしり重たいスポンジにこれまたヘビーなクリームでデコレーションされたものばかり。
色もカラフルに着色されたりしていて
とても食べたいと思う代物ではなかった。

だから、日本のケーキはすごくありがたいものなのだ。

自宅から車で2時間離れた場所にあるケーキ屋さんの
ショーケースに並んだキラキラの日本のケーキをどれにしようかと眺めながら夫と私が同じものをひとつづつ食べられるように、3種類のケーキを2個づつ、合計6個買った。
そのうちチョコレートケーキとムースのタルトは買った日に食べて
残りのショートケーキは大事にとっておいた。

にも関わらず、
このケーキを楽しみに帰宅したら私のショートケーキはこつ然と姿を消していた。

そう、夫が私のケーキまで食べてしまったのだ。

同じケーキが2個あったら、普通は一個は自分の分だとしても
もう一個は妻の分とは思わないんだろうか?
もしくは、夫は妻である私のことなど微塵も考えていないというだろうか?という疑問も出てくる。

また買いに行けばいいじゃんと言う夫に、もうがっかりを通り越して怒りが湧いてきた。
2時間車を走らせないと買えないケーキなんだよっ!
この辺では買えないんだから!今食べたかったのに!
今日一日これを楽しみに頑張ったのに!

私のお楽しみが〜…ショックすぎた。

もうあまりに悔しくて悔しくて、本気で地団駄を踏んだ。
冷蔵庫の前で床をドシドシ踏みつけて唇を噛んだ。
本気で悔しいとこうやって本当に地団駄って踏むものなんだなと
新しい経験をしている自分にも気がついたのも逆に今考えると面白かった。

たかがケーキ一個に子供のように地団駄を踏んだ日。
この日のことを私は忘れないだろう。
食べ物の恨みは怖いのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?