一般という逃げ道
「わたし、1人集客したわ」
「集客?」
「舞台の感想をポストしたらさ、興味持ってくれたフォロワーさんがチケット買ってくれたの」
「いつ行くんだ?」
「20日みたい」
「じゃあ、意味ないな。キャスト違うし」
「意味なくないよ。舞台を好きになれば次も来てくれるかもしれないじゃん。推しなんかいなくたっていいんだよ」
何がなんでも推しのチケットを買う主人には、たまにイラつく。
舞台のチケットの購入サイトを開くとよくある。
ずらーっと役者さんの名前が並んでいて、選べるようになってるページ。
どの役者さんを選んでも舞台は観れるのに、チケットバックの関係で、選ばせるようになってる。
あれ、あんまり好きじゃない。
「この舞台よかったよ!」
「じゃあ観てみようかな」
となっても、あのページが出てくると買う気が失せます。
役者の誰も知らないんですが……。と。
1人で舞台を作ってるわけでもないのに。
仕方なく1番上の人とか、なんとなく気に入った名前の人を選んで買う。
それだけならまだしも、
自分のチケットを買われた役者さんがフォローしてきた上に、DMで、
「チケット買ってくれてありがとうございます!」
なんてこられたら、もううんざり。
あなたのこと、わたしは別に好きではないし、というか全然知りません。と。
今回見た舞台は、
「一般」という項目がありました。
一般という逃げ道。大事です。
案の定、わたしのフォロワーさんも、「一般」を選択して買ってました。
そりゃそうですよね普通。初めて観るのに推しなんているわけない。
舞台を観に行くのであって、推しを観に行くわけではない。
そういえば、わたしが毎回行ってるたりほんフェスは、残念ながら「一般」は選べないのですが、
毎回毎回サポートのギタリストのを買っていると、
「これ、毎回同じ人だと、まるでわたしがこの人のことめっちゃ好きみたいになるじゃん。執着してる痛客じゃん。恥ずかしくないかそれ。別にそこまで好きじゃないんだけどなぁ〜。フェス自体が楽しいわけだし、フェスだから来てるわけだし、ギタリストが出てないときでも普通に見るわけだし、ていうか好きバレすんのやだし、ん、これは好き避けなのか?」
と、なります。
誰のチケットを買っても見れるのに、あえて「選ぶ」ということは、まるでその選んだ人に、
「おこづかいあげます」という意味ではないか。
なんか偉そうじゃないかそれ。
嫌じゃないかそれ。
考えれば考えるほど、あのシステムは謎である。
美術館や映画と違って、ライブや舞台は生の人間が出てますので、
どうしても「選ぶ」感じになってしまいますが、普通にライブや舞台そのものを見たい人もいるので、
「一般」という逃げ道があるといいなと思いました。
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