純白のドレスがくすんで見えるほど、肌の白さが際立っている。 顎のラインで短く切り揃えたツヤッツヤの黒髪を、内側に綺麗にカールしてふんわりと。 首や顔、肩や腕、足先までシュッとした引き締まった体。膨張色の白いドレスが膨張して見えない。 瞼の二重ラインにゴールドのアイシャドウを使ってるのか、まばたきするたびにキラキラと輝いている。 食生活を管理しない限り手に入らないような、吹き出物一つない、透き通るような白い肌。 爪は、前回は真っ赤だったけど、今回はオレンジ系かな。 純
3、4ヶ月前に、仕事で関わりのあった30歳くらいの男性から、主人にLINEがあった。 「近くにいるのであとで寄ってもいいですか? 彼女も一緒なんですけど」 と。 「なんか木村くん、あとで寄りたいみたいだけど大丈夫? 彼女も一緒みたい」 とわたしに聞く主人。 「別にいいけど、どうしたんだろうね」 数時間後に、彼女と一緒に職場を訪ねてきた木村くん。 「あ、こちらは今お付き合いしてる彼女です。で、こちらは堀江さんご夫婦。とてもお世話になった人たちなんです」 わたしたちに
「マッチングアプリって、いい噂全然聞かないですけど、大丈夫なんですか?」 「いや、でもマッチングアプリやってない人なんて今時いないじゃないですか。それに、マッチングアプリをやってたから今の彼女と出会えたんです。そう考えるようにしてます」 なるほど。なかなかプラスの発想ができる人だなぁと思いながら聞く。 「詐欺とか多そうで怖いイメージですね。最近はホストもマッチングアプリやってるんですよ」 「ホスト? あ、ホストめっちゃ嫌いでしたよね。一時期、水商売系の本たくさん読んで
Xを開いて、我が推しのギタリストと自撮りツーショット写真ばかり上げる女性アーティストをブロックした。はい、さようなら。 無意味な抵抗。ディフェンスという名のオフェンス。深く関わる前にブロック。 「リハーサル、過去一楽しかったし元気もらった!」 スタジオという密室で、我が推しと2人きりになったであろうその女アーティストが、我が推しに向けた私信ポストである。 悶々と怒りが込み上げるわたしにも、ヤキモチという感情はあるようだ。 他撮りツーショットは許せるけど、自撮りツーショ
もう3年くらい指名している整体師さんは、40代くらいの男性で、ちょっと変わってます。 まず、とっても早口。 普通の人の1.5倍くらいのスピードで話す。 着替えて案内されるなり、 「今日は右肩ですか、首ですか、腰ですか。あ、腰ですか今日は。どうしました?」 毎回毎回「右肩が痛くて」と言っていたので、「右肩ですか?」と1番に聞かれる。 そして、たまたま腰に手を当ててただけで、「腰ですか今日は」と聞かれる。 「あー……、腰かもしれないです。右肩も痛いです。首も……」 「
そのライブハウスは縦に長い形をしていて、キャパ50くらいの小箱。 私が行ったときには10人程度のお客さんが椅子に座って、フロアの後ろの方で見てました。 フロアの前の方、ステージ近くが空いている状態。 客が少ないライブでは、最前に行くのは少し恥ずかしい。 好きでも嫌いでもないシンガーさんで、ただなんとなく歌を聴きに来た感じだとなおさら。 そんなに熱狂的なファンだと思われるのも嫌なので、2列目以降に座ることが多い。 ちょうど入れ替えのタイミングで、対バン相手がステージ上で準
主人と一緒に目黒区長選挙の期日前投票に行く。 夫婦であっても誰に投票するかは教えません。 候補者名を書き、半分にきっちり折ったユポ紙が自然に開くことを確認しながら数回遊び、投票箱へ。 長机に4人ほど並んで座っている、何をしているのか分からないおじさんたちに軽くお辞儀をし外へ。 「あ、ちょっと待って」 後ろから主人に呼びかけられて振り向くと、おじさんに声をかけていました。 「投票済証もらえますか?」 「はい、えっと、2枚ですか?」 「2枚で」 投票済証? 主人に
「あのギターの人って、推しですか?」 「え」 「ツイッター……じゃなくてXに上げてたじゃないですか。手作りの栞の」 「あー……、推しというか、ライブあったら行く人」 「ギターの先生なんでしたっけ?」 「一応そうだけど、もう習ってなくて」 「え、そうなんですか? その人、先生は続けてるんですか?」 「んー、どうなんだろう。たぶんやってるんじゃないかな。アイドルとかアーティストのサポートやってて、ライブあれば行く感じ」 「へぇー、いいですねー、推し。かっこいい感じ
朝4時に起き、6時から仕事をして、17時くらいに上がるとき。 「よし! 終わった! 疲れたー!」 「お疲れ様」 「じゃ、ジム行ってくる!」 「ええ!? 疲れてるのに!?」 主人とそんな会話をし、ジムに行きます。 ジムで筋トレし、YouTubeを見ながら1時間ほど走り、帰宅すると20時くらいに。 そこからご飯を食べ、お風呂に入り、2時間ほど読書をすると、24時を回る。 「あ、note書いてなかったなぁ。今日はなんもネタがないなぁ」 と思いながら、今こうして書い
笑った? スクランブル交差点の信号が青になると同時に、一斉にスマホを掲げる外国人。 こんなに大勢の日本人がいっぺんに渡る姿が、珍しくて面白いのだろう。 外国人がスマホで動画を撮ってる前を、いつもより顎をあげ、モデル歩きで歩く。 わたしにスマホが向けられた瞬間に、髪をわざとらしくかき上げる。 その右手はピースして。 あとで動画を見返して、 「ワォ! この日本人、ピースしてるぜ! ハッハッハッ!」 と笑う外国人を想像して、渡りきる頃にはわたしは思いっきり笑ってる。 前
「昨日さ、22時まで仕事で、家帰って23時で、今日6時から仕事。嫁ちゃん疲れましたよ」 「そうか。じゃあ頑張ってる嫁ちゃんにグミあげる」 「グミ! やったー!」 日常会話がネタです。 主人はわたしの扱い方がよく分かってます。 ところが、本名でやってるわたしのXを見た知人に、 「働きすぎじゃない? 大丈夫?」 と、心配されました。 わたしが言う「仕事大変、疲れた、明日も5時起きだー」という言葉は、 「わたし頑張ってるでしょ。すごいでしょ。めちゃめちゃ仕事ある求め
50年後……。 「昔はよかったのよ」 「そうなの? おばあちゃん」 「昔はね、インターネットってのがあってね、それで買い物すれば次の日には届けてくれたの。洋服も日用品も本も、全部、ぜーんぶね」 「えー!! すごい!!」 「分からないことはなんでもすぐにインターネットで調べられたし、どこへ行くにもスマホ1つあれば行けたから、地図なんて必要なかったの」 「地図がなくても平気なの?!」 「そうよー。町だって、どこにでもコンビニやスーパーがあって、食べるものに困ることは
「わたし、1人集客したわ」 「集客?」 「舞台の感想をポストしたらさ、興味持ってくれたフォロワーさんがチケット買ってくれたの」 「いつ行くんだ?」 「20日みたい」 「じゃあ、意味ないな。キャスト違うし」 「意味なくないよ。舞台を好きになれば次も来てくれるかもしれないじゃん。推しなんかいなくたっていいんだよ」 何がなんでも推しのチケットを買う主人には、たまにイラつく。 舞台のチケットの購入サイトを開くとよくある。 ずらーっと役者さんの名前が並んでいて、選べる
舞台を見終わった後……。 「めちゃめちゃよかった! 今まで観た舞台の中でも1番よかったかも。脚本も役者もハイレベル。初めてかもしれない、もう一回観たいって思ったの」 「もう一回観るか?」 「いやいいよ。高いでしょチケット」 「いや、チケットはあるんだよ。1枚。明後日のが」 「はぁぁぁぁ!?!?!? なにあんた、全通するつもりだったの?!? お金使いすぎでしょ!」 「い、いや違うよ。二回くらいは観ようかと思って。い、一応買ってて。あ、あんたが行きたければあげるから」
「若者が選挙行かないからダメなんだよ」 「若い人は、自分のことは自分でなんとかしようって考える人が多いから、政治なんかに頼ってないのよ」 「それが政治家が作った教育なんだよ。選挙に行かないように、教育で丸め込まれてるんだよ」 19歳差のわたしたち夫婦は、お題を決めて、よくこんな話をする。 価値観の共有。 価値観の違いで離婚する夫婦があるとしたら、わたしたちは真っ先に離婚している。 昨日のお題は「人手不足」 「うちらの仕事はまだマシな方だよ。人手は少ないけど、必要
「そういえば最近BAR行かないな」 「うん。飽きた」 「やっぱりか。あんたいつもそうだな」 「うん。すぐ飽きちゃうんだよね」 去年の夏頃からハマり出したBAR飲み。 1人でふらっと行って、カクテルを飲み、バーテンさんとお喋り。 なんだかそれがカッコよくて好きでした。 色んなカクテルがあるので、自分でも買って作ったり。 色んなBARに行って、色んなカクテルを作って、ある程度知ってきてしまうと、 突然飽きる。 1年持たない。 今でもお酒は好きですけど、飲むと翌日