JAセレサ川崎ものまねショー【コロッケ、松浦航大】
「農協からこんなチラシ来たけど行く? 抽選みたいだけど」
母からLINEで送られてきた画像を確認すると、右に見たことある人がいた。
「右の人、知り合いの知り合い。行きたいかも」
「コロッケは知ってるけど、松浦って人は知らないわ。申し込んどくね」
どこかの機会で見てみたいなぁと思っていた人が、まさかこんな形で見れるとは。
以前習っていたギターの先生がよくサポートをしていた女性アーティストさんのピアノサポートをしていた人が、松浦さんのサポートもやっているという、
「知り合いの知り合いの知り合いの知り合い」というただの他人を「知り合いの知り合い」と略してちょっと近づく。
1ヶ月後。
「今日【コロッケのチケット】届いたから、そっちに送るよ」
「わかった。ありがとう」
母くらいの年齢だと、コロッケは知ってても、松浦さんは知らないという人が多そうだ。
数日後、【松浦さんのチケット】ではなく、【コロッケのチケット】としてわたしの元に届いた。
場所は、カルッツ川崎。
「JAセレサ川崎 組合員の集い」は、毎年行われいる組合員だけが入れるフリーコンサート。
いつもは勝手にチケットが送られてきて、東京国際フォーラムやっていた。
今年は会場を小さくした関係なのか、申し込みをした人だけが行けるような形だった。
わたしは出不精の母の代わりに毎年行っていた。
去年は三山ひろしさん。一昨年は、名前は忘れましたが、女性の演歌歌手2人だったと思います。
このイベントは年齢層がめちゃくちゃ高く、60代、70代、80代といった方が中心。
30代のわたしはいつもかなり浮いています。
駅から15分くらい歩いてやっと着いたカルッツ川崎。
「10列の25番は……」
一つずつ背もたれを確認しながら探して座った。
ど真ん中だった。かなり見やすい。
通路の方を見ると、案内係が次々に「どこ? どこなの?」と聞いてくるご年配のお客様たちを「あちらです!」「こちらです!」と声を張り上げてさばいていた。
後ろから声がした。
「コロッケって人気あるの? 今回、抽選だったじゃない?」
「知らない。私、全然興味ない!」
「あはは」
全然興味なくても、コロッケは知っている。
周りの会話に耳を澄ませても、「松浦」という単語は全然聞こえない。
幕が上がった。
中央に、全身黒っぽい衣装を着た松浦さんが1人で立っていた。
バックバンドはいなくて、オケが流れ始める。
松山千春さんのモノマネ。
手拍子がちらほらと起こる中、歌い切る。
続いて、モノマネメドレー。
高齢者の反応はとても正直で分かりやすい。
Mr.Childrenでまぁまぁ盛り上がり、backnumber? でシーン。
ゴールデンボンバーの女々しくてでまた盛り上がる。
平井堅でしんみりし、
米津玄師でふむふむ、みたいな反応。
モノマネというのは、知ってるか、知ってないか、似てるか、似てないかが評価基準になってしまうので、
曲も歌手もほとんど知らないわたしには、歌自体が良いか悪いかは、評価できない。
でも、和田アキ子の「古い日記」で謎の盛り上がりをみせる。
「ハッって掛け声お願いしまーす!」
「あの頃は!」
「ハッ!」
「ふたり共!」
「ハッ!」
「なぜかしら!」
「ハッ!」
「若さなど!」
「ハッ!」
ハッで手を上げる松浦さんに合わせて、お客さんもぼちぼち手を上げる。
恥ずかしくて手を上げられないのではなく、たぶん肩が上がらない。
「みなさんのおかげで、僕も楽しいです! ありがとうございます!」
その後は、松浦さん自身の話。
北海道から出てきたこと。
東京の路上で歌ってたこと。
お金がなくて電気水道ガスと止められたこと。
個性がないと言われたこと。
個性がないなら、自分の武器は柔軟性だと思ったこと。
まるで孫の話を聞くように耳を傾けるご年配のお客さんたち。
暖かい空気でした。
最後の方になり歌ったのは、
秋川雅史さんの「千の風になって」
紅白歌合戦を絶対見ているような世代に、この曲はぴたりとハマり、
「あらー、すごいわねー」
と、小声で後ろから声が聞こえてきた。
そんな声も出せるのかと、
圧巻でした。
ラストに自分のオリジナル曲を歌い、終了。
幕が下りた。
「あんなに声出してよく喉疲れないわね」
「すごいわね」
後ろからは「そこかいな!!」と思わずツッコミたくなるような感想が聞こえてきた。
わたしの感想としては、モノマネはよく分からないので、普通にオリジナル曲がもっと聴きたいなと思いました。
背が高く、スマートでカッコよく、
千の風になってをあんなに素晴らしく歌い上げた松浦航大さん。
今度はバックバンドをつけて、もう一回聴いてみたいなと。
15分の休憩を挟み、次はコロッケさん。
「僕のモノマネは真剣に見ないでくださいね」
の一言で、ドッと笑う。
「この仕事を長い間続けてこれました。これも全部……他人の歌のおかげです」
で、爆笑。
モノマネというよりはお笑いで、爆笑しまくったステージでした。
当たり前ですけど、プロでした。
年齢層が高いので、コンサート並みの集客なのに、Xで今日のことをポストしている人は数人でした。
コロッケさんと松浦航大さん。
とても楽しいステージでした。ありがとうございます。
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