私のコップに水を注いでください。
どうしても足りないんです。
注げども注げども水は増えません。

私も水を注ぎます。
だからあなたも手伝ってください。
あなたの助けが必要です。

私とあなたでコップの水を満たしましょう。
きっと心が救われます。
私の心が救われます。
あなたに手伝ってもらえれば、私のコップの水は満たされるはずです。

なのにどうしてなのかしら。
コップの水が増えません。
あなたは手伝ってくれていますか？
あなたも注いでくれていますか？

コップの下に冷たいものが光ります。
ああ、なんてこと。
コップが割れているんです。

私のコップは永遠に満たされません。
どんなに注いでも私のコップはいっぱいにはならないでしょう。
注げども注げどもじわりじわりと流れて落ちているからです。

悲しくて心が壊れそうです。
どうしたら私のコップを満たすことができるのでしょう。
割れたコップに水を満たす方法を私はまったく知りません。

それではあなたのコップに水を注ぎましょう。
あなたと一緒に私も水を注ぎます。
あなたのコップを満たすために私があなたを手伝いましょう。

私はただひたすら注ぎます。
一心不乱に注ぎます。
自分のコップが満たされない悲しさに心が押しつぶされないように、懸命に水を注ぎます。
あなたが手を休めても、私は休むことなく続けます。

あなたのコップは満ちました。
あなたは笑顔になりました。
なぜでしょう。
あなたの笑顔が私の心を満たします。
私の水は足りないけれど、なぜか心が休まりました。

628文字

#短編小説 #詩 #コップ #水 #平穏 #笑顔 #心 #救い