サクラと君と

「ねぇ、サクラみようよ」

君がワクワクした顔で僕にそう言った。

春だからサクラだと君は言う。

「今週末は満開だよ」

ついこの前は春だからウメだって言ってたけどね。

そういえば君は梅酒が好きなんだよね。一緒に飲みに行くととにかく梅酒だけを順番に頼むよね。

ゆず梅酒、桃の梅酒、マンゴー梅酒、梅酒のサングリア。

梅酒ばかりで飽きないのかって尋ねたら、少しピンク色になったほっぺに頬杖つきながら、「だって大好きだから」っておいしそうな笑顔で答えた。

じゃあ僕も、あらごし梅酒あたりをソーダ割りで注文してみようか?

でも君はきっと少し強い口調で「ロックじゃないとダメだよ」って言うだろう。君はいつもロックだから。

君が次に何を言うかなんて僕はいつも知ってるよ。

ずっとずっと君を見てるから。

今年のサクラも来年のウメも、そしてまたそのあとのサクラも、二人で一緒にみようよ。

気高くて品のあるウメを。

陽の光を浴びた優しいピンクのサクラを。

夜にかがやく艶めいたサクラを。

手を繋いで一緒にみよう。

いつもちょっとわがままな君だけど、僕が二人のこれからの話をすると、とってもうれしそうに幸せそうに微笑んでくれる。

ほんと、かわいいね。


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#短編小説 #超短編小説 #サクラ #梅 #二人


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