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ただよう

ゆらりゆらりとただよって、私はここにたどり着いた。

広い広い海をただよった。

ただ波にゆられ、ただ波におされ、流れ着いた。

誰もいない島。

寂しい島。

島を歩いた。

あなたを探して。

でもどれだけ歩いてもあなたはいないね。


鳥が木から飛び立った。

私が来たからだろう。

私を一人にするために鳥さえもいなくなる。

ここには私だけ。

私一人だけ。

誰もいない。

あなたもいない。


ここには時間がない。

明るければ昼で暗ければ夜。

暗くなれば海と陸の境目が消える。

目はもういらない。

音だけの世界。

静かなさざ波の音に向かっていく。

水が足に触れた。

冷たいのかぬるいのかは分からない。

膝まで入って、腰まで浸かった。

このまま歩けば海に溶け込めるかな。

深く深く沈めば、海と私はつながるだろう。

永遠を体に染みわたらせる。

鳥さえもいなくなったこの島に、私を止めるものなど誰もいない。


広い広い海をたった一人でゆらりゆらりとただよって、この島まで来たけれど、ここにもあなたはいなかった。

私を抱きしめてくれたあなたは見つからない。


#詩 #孤独 #海 #鳥 #波 #音



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