外側

私の外側が壊されていく。

その人の優しさにすべてを飲み込まれ、私が必死で守ってきた内側が少しずつ漏れだす。

漏れだした私の内側のそれをその人が残らず飲み干そうとする。

長い月日をかけて私が体全体にまとってきた外側は強く固く、誰にも壊されないように守り固めていたけれど、その人のあまいあまい包み込む穏やかさに少しずつ剥がされて、守っていたものが崩される。

危険。

私の中で警鐘がなる。

その人になら私はすべてを捧げてもいいと、外側を剥がされながら感じて落ちていく。

危険とともに喜びを感じ落ちていく自分の未来を見る。

外側なんていらないとその人は静かに優しくささやく。

外側はいらないのかと心を委ねる。

外側を固く固く守ってきた私は間違っていたんだと思わず外側を溶かしはじめる。

危険。

外側は必要。

外側は私を守るもの。

外側は必要。

揺れ動く心があと一歩でその人に包まれてしまう一瞬前に、強い手が私を引き戻した。

本当の自分はどっちかと強い手が私に問いかけた。

本当の自分がどっちなのかと立ち止まって考える。

外側は必要なんだと強い手は私に教えてくれた。

外側は繊細で壊れそうな柔らかな内側を守るもの。

見せてはいけない。

柔らかな内側は固い外側で守ることで守られる。

その人の溺れるほどの優しさに心が体が引き寄せられながら、その強い手に引き戻され、これは君に必要だと外側をまた固めてもらった。

外側は私には必要?

外側をまとっている私が私なのだから?

内側だけの私をそのままにしても誰も何も私を傷つけないのなら外側は必要ないけれど、そんな夢のような安全地帯は私にはないんだよね?

強い手が力強く私を外側ごと抱きしめてくれた。

688文字

#詩 #外側 #内側 #体 #心 #優しさ

「その人」と「強い手」、この2つはまったく離れたところにいるような、なんとなく同じ線の上にいるような、どうなんでしょう。優しさと強さ、どちらもとても魅力的です。

お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨