秋のプレゼント
「はい、プレゼント」
君がにっこり笑って僕の手に、ドングリ2つをコロンと転がした。勢いあまって手から転げ落ちそうになったから慌てて握りしめた。
そっと開いて見てみると、ドングリにマジックで顔が描かれていた。
かわいいな。思わずふっと笑みがもれた。君はきっとふふふって微笑みながら描いたんだろうな。
君は僕のノートにいたずら書きをするのが好きだったよね。僕が隣の席の子と話している隙に横から手を出して、ノートに小さなハートとか描いてたね。僕がそれに気づいて文句を言うといつも笑いながら謝ってくれた。
僕のノートは君が描いたハートがあちこちに散らばってた。ピンクとか黄色とかのハートがたくさん。
あれから5年が過ぎた。
隣の席のいたずら好きの君が、今では僕の大好きな彼女だ。いつも僕の隣にいてくれる。
ドングリを玄関の棚に飾った。
ニッコリ顔のドングリをくっつけるように並べた。
きっと君は玄関を通るたびに、またふふふって微笑んでドングリをツンってするんだろうな。やっぱり君はかわいいね。
そんな想像をするだけで僕は幸せになれる。
僕を幸せな気持ちにしてくれる君がとっても大切だよ。
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