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戦略的モラトリアム

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1990年代後半。不登校がまだ登校拒否といわれていた時代。時代の閉塞感と田舎特有の野次馬根性が嫌で抗い続けた少年の葛藤。自分らしく生きるとは何なのか。社会と隔絶する少年の心の動き。
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記事一覧

戦略的モラトリアム㉘*完結

 合格発表の日、僕は掲示板を見に、大学に向かった。受験番号と掲示板の睨めっこになれてない…

戦略的モラトリアム㉗

二〇〇〇年 一一月 受験日    天気 晴れ  舞台 専門学校の寮       精神状態…

戦略的モラトリアム㉖

 翌日、専門学校に行くと、僕は彼に筆舌に尽くしがたいほどの感謝の気持ちを伝えた。それが彼…

戦略的モラトリアム㉕

二〇〇〇年  一〇月上旬  天気 晴れ   場所 都内の専門学校     精神状態 妙な…

戦略的モラトリアム㉔

数日後、僕はまたバイトをしていた。深夜バイトは金がいい代わりに次の日がキツイっていう欠点…

戦略的モラトリアム㉓

二〇〇〇年  七月 下旬    天気 快晴      場所 寮     精神状態 夜の街…

戦略的モラトリアム㉒

……。 小一時間話し込む。 談笑…… 「そっか。それってすげえよ。きっとうまくいくって。」 口火を切って自分の意見をとうとう言い出した。僕はほぼ軽蔑されることを予期していたが、どうやらそうではないらしい。 「だといいんだけどね(笑)。一年前の自分の行動を悔いるばかりさ。」 「無駄じゃねえって。それが分かっただけで今年一年は無駄じゃなかったろ?俺にも会えたしな(笑)。」 「去年大学行ってたらって考えてさ……。」  言葉に詰まる。 「今年大学行ってたら、きっとお前、また同じこ

戦略的モラトリアム㉑

その日から自分の生活は活気を徐々に帯びていった。専門学校に行き、その後、寮に帰って入試勉…

戦略的モラトリアム⑳

とある日のこと。専門学校の帰り道。僕は例の駅前の予備校に吸い込まれるかのようにふらっと入…

戦略的モラトリアム⑲

二〇〇〇年 五月中旬    天気 曇り  場所 寮と専門学校の往復 精神状態 デジャヴ …

戦略的モラトリアム⑱

新生活の地に降り立ったとき、僕はすでに都会に順応する覚悟ができていたし、早くもその片鱗を…

戦略的モラトリアム⑰

その日から、どうも自分が何かの燃えカスに感じて仕方がない状態が日増しにひどくなっていった…

戦略的モラトリアム⑯

一九九九年   九月上旬    天気 秋雨    場所 某地方都市精神状態 澱み 「受験…

戦略的モラトリアム⑮

さて、僕が予備校にうまく順応してるのはなぜだと思う?実は僕、予備校が始まる前からここではうまくやっていけるっていう自信はあったんだ。 なぜかって?それはね、はじめ、授業見学したときにあいにく、休憩時間になっちゃって授業が終わったんだ。でもさ、そこに衝撃映像!席は自由ってのは分かってたけど、後ろでウォークマン聴きながら、単語帳開いてる奴がいたかと思えば、その隣では雑誌に目を通す奴。はたまた友達と話す奴もいたり、外に休憩に行く奴、とにかくいろんな奴がいたんだ。しかも、お互い周りに