マガジンのカバー画像

復興シンドローム

25
2011年3月11日東日本大震災が起こり、僕らの生活は一変した。様々なことがあり、人々の心が様変わりした。避難し新生活を迎える者、そこに残ることを選んだ者。そして、ただ茫然と居続… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

復興シンドローム【2017/01/01~】㉔

震災から6年を迎える2017年もあけた。テレビもない生活が長いせいか、自分には一切のおめでた…

復興シンドローム【2016/12/01~】㉔

バイト先の近場で工事が始まった。 あぁ、コンビニができるらしいよ。向こうは24時間らしい。 …

復興シンドローム【2016/11/01~】㉓

「福岡さん、この町ってどうなっちゃうんでしょうね……」 事務所でふと声をかけた。 一仕事…

復興シンドローム【2016/11/01~】㉒

徐々に明け方は遅くなり、午前4時だと暗闇に包まれている。白い息を車の窓から出して、熱いコ…

復興シンドローム【2016/10/01~】㉑

「ここから山沿いに離れた広場で移動販売をしようと思っていてさ。マスコミも来るからいい宣伝…

復興シンドローム【2016/09/01~】⑳

夏の装いは弱まることなく、午前5時の出勤には場違いなほど辺りは明るい。駅は6月に再開し、…

復興シンドローム【2016/08/30~】⑲

復興真っ最中。 明け方には多くの作業者が現場に向かう。コンビニに人波が押し寄せて、やがて一気に引いていく。見慣れた風景が明け方の街並みを緩やかに染めていく。 早朝のコンビニにボクはいた。やっとのことで開店したコンビニ。 24時間営業は到底無理。復興の象徴の1つとして担ぎ上げられたオーナーがやっとのことで14時間営業を決断した。自分は早朝の4時間をこなしながら、夕方には別な仕事に向かう。 そんなルーティーンが自分の日常として体に染みついてきたついこの頃。 薄暗い闇夜に軽自動

復興シンドローム【2016/08/01~】⑱

「やめやめ!もうやめた!」 そう言って、自分は電話を切った。制服はほかの隊員さんに預け、…

復興シンドローム【2016/04/01~】⑰

この仕事をして何度目かの血液検査。 内部被ばくの累積線量は特に問題はなし(らしい) 帰還…

復興シンドローム【2016/01/01~】⑯

凍えるような寒さの中、まだ闇に包まれた早朝。 新年のあいさつも忘れ、僕らは仕事に出かける…

復興シンドローム【2015/06/05~】⑮

夏らしくムシムシし始める季節。 僕は半年に1回の血液検査に向かった。放射線手帳に累積線量…

復興シンドローム【2015/05/05~】⑭

午前中の日差しが強くなってきた。警備員年長の御大でも日焼け止めクリームは必須だ。山側から…

復興シンドローム【2015/04/15~】⑬

「ここで立ってれば、新しい車がぎょうさん通りよるし、見ていて楽しい」 体格の大きい関西弁…

復興シンドローム【2015/04/01~】⑫

20才の青年がいた。 寡黙でいつも真面目だ。 性格は・・・・・・話さないので、よく分からない。 生まれつきのアトピーで、宿泊施設の共同浴場には入れない。 「個別のシャワーだけにしろ!きったねぇなぁ」 心ない隊員や作業員から、どやされている。早朝の集合場所でそんな一悶着があると、卿もまたそれぞれの持ち場に向かう。その日はたまたま彼と自分は同じ現場だった。 「〇〇君はどこ出身なの?」 車内の沈黙をかき消すように、自分が尋ねた。 「仙台です。家族もそこにいます」 つっけんど