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定員厳格化東京23区の混沌

今年度でセンター試験が終わる。時代がまた大きく変わるのかという思いとともにもう一つの出来事に注目したい。近年の「定員厳格化」である。都内の大学は年々定員に準じた人数しか合格させなくなってきている。特に23区内は競争率が高くなってきている。今まで比較的容易く合格できた大学も最近では合格しにくい。もちろん受験生には災難だが、この災難が君たちを洗練させることに気づいてほしい。

今年は試験の難易度はさることながら、仮に第一希望が不合格だったとしても滑り止めの大学に入学する可能性は極めて高い。比較的偏差値の低い大学にそれなりに優秀な学生が入ってくる。そうなれば大学にとって独自性を打ち出すチャンスである。

この大学にしか出せない「色」を出すため、各私立大学は頭を捻るべきだ。特に23区内の大学は大激戦。とりあえず引っ掛かった大学に学生は行くしかない。来年度の共通試験の内容がまだ不透明だから浪人のリスクを選ばない学生が多いだろう。

中には自分の思い通りの大学に進学できない学生も出てくる。大学はそういう学生のモチベーションをあげるため、独自のカリキュラムを前面に押し出すことが期待される。

私見では「大学全入時代」なるものは来ないと思う。定員厳格化は私学助成金の交付を餌に各私立大学に守らせるということで、いわば

すべての大学が私学助成金の恩恵に預かる。つまり、大学が全.国立化するのである。勿論今までも私学助成金は各大学に割り振られてきた。しかし今回は「定員厳格化」を餌に感じる私学助成金の交付か否かを大っぴらに発表してきたのだ。国の意向を私立大学はほぼ受け入れることになり、私立大学は定員の面で国の意向通りなるのだ。

言い方を変えれば、すべての大学の人数に国の意向が入ったものになる代わりに「私学助成金」を堂々と受けとることができる。まさに国立大学のそれではないだろうか。

そうなると、生き残り競争の様相が大幅に変化する。定員厳格化で少人数の学部が増えるということはよりフレキシブルなカリキュラムが編成しやすくなるのではないだろうか。

これから各大学のウリはより細分化していく。

「うちの大学は東南アジア情勢に強い」
「うちの大学は犯罪心理学に定評がある」
「うちの大学は北欧と……」等。

今は大学のチャンスなのだ。独自の色がつくのをじっくりと待とう。そして、どこの大学に進学しても、思い切り背伸びして学問に臨む姿勢が養成できればそれでよし。

今の状況はまさに大学の錬成期間だと考える。

福島県のどこかに住んでいます。 震災後、幾多の出会いと別れを繰り返しながら何とか生きています。最近、震災直後のことを文字として残しておこうと考えました。あのとき決して報道されることのなかった真実の出来事を。 愛読書《about a boy》