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ある日の話

先日、面白い顔ぶれでランチをした。

私が20代に出会った人、30代に出会った人、40代に出会った人。(おおよそ、そんな感じなはず)出会った年齢で私の呼び方がそれぞれ違って自分の歴史を感じる。そして不思議な気分。

話の内容が多彩で、このメンバーならではな興味深い話ばかりで楽しい。

お土産のベトナムのコーヒー豆を頂いたのだけど、私は家でコーヒーを飲まない。(コーヒーは好き)
せっかく頂いたし味が気になるから、今度友達に頼んで淹れてもらおうかなーと頭の中で考えていた。

ランチが終わり、送ってもらうためにIさんの車に乗ると「これからうちに来てコーヒー飲みますか?」とご提案が。

ランチ前、近くの食品店に入った時「家でコーヒー飲まないんですよね」と私が話していたのを覚えていてくれたのだ。
Iさんは40代で出会った人で、まだ半年くらいのお付き合い。もうちょっといろいろ話したい気持ちだし、ご厚意に甘えてご自宅にお邪魔することに。

Iさんのお家へ行くとご主人がいらっしゃって、お喋りしている間にIさんがコーヒー豆を挽きはじめ、いい香りが部屋の空気に混ざってくる。

「お父さんのブローチあったよね?」とIさん。

私の父親は七宝彫金作家で、Iさんのご主人と以前から交流がある。

車の中でも話に出ていたのだが、私の父が作ったブローチをご主人が持っているそうなのだ。

ご主人がいそいそと、それを持ってきてくれる。


銅板に緑青のかかったブローチ。
久しぶりに感じるひんやりした銅板の感触。
このタイプのブローチ、私も作る手伝いしたことあるな、とか
こんな布っぽい皺がある表情のなんて作ってたんだ、なんて思いながら、手の中のブローチを眺める。

このタイミングでこのブローチと対面したのは不意打ちだな。


父は2021年に他界した。
そして今日は私の誕生日だ。


私が家でコーヒーを飲まないと言ってなかったら
コーヒー豆をもらっていなかったら
お家に誘ってもらわなかったら

このブローチは目の前になかったかもしれない。


父親に会えたような気恥ずかしい気持ちで、淹れてもらったコーヒーを飲む。
酸味と深みのある味が口の中に広がる。

Iさん家族が誕生日を祝ってくれて、ほっこりした気持ちで帰宅した。


なんだか不思議な誕生日。


締めは大好きな映画『アバウト・タイム』を観て。

We’re all traveling through time together, every day of our lives.
All we can do is do our best to relish this remarkable ride.

僕たちは一緒に人生をタイムトラベルしている。
できることと言えば、この素晴らしい旅行を楽しむために最善を尽くすことだ。



42歳はどんな年齢になるだろうか。
自分を取り巻く人たちと共に
この旅行を楽しんで過ごしていきたい。


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