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ハリスホークを逃さないで

ハリスホークは、ペットとして飼われることも増えてきた外国産のタカです。ところが、ロスト(逃げてしまう事)が度々報告されています。逃げ出した個体が人やペットに怪我をさせたり、生態系をおびやかす可能性もあります。猛禽類を脱走させないためにやるべきことを紹介します。(約2分で読めます)

アンクレット、ジェス、リーシュなどは定期的に交換する

係留に使っている道具が壊れて逃げてしまうことが防げます。革は経年で伸びたりちぎれてしまいます。スイベルやパーチのリングは金属疲労で突然折れることもあります。アンクレット、ジェスは硬くなる前に新調しましょう。丈夫なザイルで作られたリーシュでも、紫外線等で劣化することがあるので注意が必要です。

タカに解かれない結び方で係留する

ハリスホークは賢いので、係留ヒモの結び目をほどいたり、ナスカン、カラビナを開けることを覚えてしまいます。つなぐ時は必ずファルコナーズノット(鷹匠結び)で結びます。ファルコナーズノットの解き方も覚えてしまったら、ダブルループリーシュを使うなどして対策をします。
(ダブルループリーシュの作り方は拙著『猛禽類のフードを作る本』で解説しています)

リーシュの端は常に結んでおく

グローブにハリスホークを乗せたら、すぐにリーシュをグローブのリングに結び、それから歩き出します。こうすれば、転んだ拍子にジェスが手から離れても逃げられません。輸送箱から出す際も、まずリーシュをグローブのリングに結んでから扉を開けます。箱にしまったら、扉を閉めてからリーシュを結びかえます。

すぐに呼び戻せる状態でフライトさせる

ウェイト(体重)が高い状態や、発信機なしでのフライトはしません。すぐ呼び戻せないなら、調教と管理方法を見直す必要があります。調教の方法は『ハヤブサ・ハリスホークを楽しむ本〜飼育・調教・鷹狩り〜』で解説しています。

小屋を二重扉にする

出入りの際にドアのすき間から逃げてしまうことが減らせます。猛禽の飼育がライセンス制であるアメリカでは、二重扉が義務とされています。すでに建ててしまった小屋でも、出入り口の外に人が入れる程度の小さな囲いとドアを付け足せば、二重扉になります。

天気が荒れる前に小屋を点検する

台風や積雪で小屋が壊れて逃げてしまうことが減らせます。台風で小屋が吹き飛ばされたり、夏場に網戸を破って逃げ出したケースもあります。小屋は地面にしっかり固定します。また、かんたんに壊れない強度が必要です。

万一ロストしてしまったら

警察署に遺失物届けを出し、動物愛護センターにも連絡します。チラシ、SNSなどで保護・目撃情報を募ります。飼い主になりすまして引き出されてしまうので、足輪の番号は公開してはいけません。小動物や猫用の迷子札を、結束バンドでアンクレットのハトメに結びつけておけば、帰還がスムーズになるかもしれません。ただし、逃げ出した猛禽はパニックになっており、人の近くへ寄り付かずに捕まえられないケースもあります。

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謝礼があることを刻んだ金属製の迷子札。裏面には電話番号を記載する。
保護してくれた人にはお礼を。
迷子札の販売元 Metal Parts Workさん
https://www.creema.jp/item/11231566/detail

もしも飼い続けられなくなってしまったら

新しい飼い主を探します。野に放つことは、違法です。ペットを捨てると、1年以下の懲役又は100 万円以下の罰金を科されます。人に飼われていた猛禽類は、野生では餓死してしまうことがほとんどです。意図的に逃すことは、いちばん残酷な殺し方です。ハリスホークの寿命は20〜30年です。フクロウ、ハヤブサも大型のものは20年以上生きることがめずらしくありません。残念なことに、捨てられたと思わしきハリスホーク、フクロウも何羽かいます。買う前によく考えて!

読んでいただきありがとうございました。
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